ゴッドファーザー三部作の2作目です。
三部作とは知らず軽い気持ちで手を出してしまいました。
片足を突っ込んだらもう抜けられないんだからヤクザの手口ですね。
視聴プラットフォームは Amazon プライムビデオ。
プライム会員は無料で視聴できます。
今回も字幕版を選択。
年齢レーティングは PG 12です。
ゴッドファーザー PART II。
1974年に公開されたアメリカのギャング映画。
日本では1975年に公開された。
ゴッドファーザー3部作のうちの2作目で、ゴッドファーザーの続編となる。
監督はフランシス・フォード・コッポラ。
脚本はマリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ。
主な出演者はアル・パチーノ、ロバート・デュバル、ロバート・デ・ニーロ。
上映時間は200分で言語は英語とイタリア語。
年齢レーティングは PG 12。
あらすじ。
コルレオーネファミリーのドン・ヴィトーは幼い頃、父親が敵対するマフィアのドンに殺される。
国からも追い出され単身で渡米。
懸命に働いて妻と一人の子供を得るが、やがて犯罪に手を染め、マフィアとしての実力と名声を高めていく。
時は現代に戻り、ヴィトーからファミリーを譲り受けたマイケルはネバダ州のリゾート地で賭博を主体とするフロント企業のボスになっていた。
ユダヤ系マフィアとの関係が悪化するとファミリーの中でも意見が対立。
マイケルは犯罪組織に関わっていることをリークされて議会で証言を迫られる。
見終わった感想 当然ネタバレあり。
壮大な人生ドラマ。
前作は暴力オブ暴力。
突然飛び出してくる暴力とマフィア同士のピリピリしたのドツキ合いの要素が強かった。
今作ではファミリーの栄枯盛衰を描く歴史ドラマ的作品だという印象を持った。
二つの作品を合わせたことで全体像が大きく変わった。
うん、これは名作だ。
権力闘争の本質をマイケルというひとりの英雄の人生を使って壮大に描いたドラマという意味で。
主人公マイケルはコルレオーネファミリーの一員としてドン・ヴィトーの背中を追いかけながら働き、頭角を現していた。
そしてヴィトーから譲り受けたファミリーのドンとしての役割を果たすべく家業に力を注いでいく。
ここまでが前作。
しかし ファミリーの舵取りは想像以上に困難だった。
皮肉なことに裏の仕事が成功するほど家族は分裂して行く。
兄が。妹が。父の盟友が。そして妻までもが自分の方針に従ってくれず勝手な行動を取る。
名君には呪いがかけられる。
権力と名声を手に入れるほど家族を不幸にする血の呪い。
古今東西、英雄と呼ばれし者を悩ませてきた。
私は歴史好きだから、このシリーズを歴史的観点で見てしまう。
おっさんが帝政ローマ時代の支配体制をわかりやすいと懐かしんでいた場面ではニヤリとしてしまった。
歴史好きならその不安定さを知らぬはずがない。
力こそ正義。
とてもシンプル。
しかしそのレギュレーションはチャンピオンである限り果てることなく挑戦され続ける。
どんなに強くても殺されたら終わり。
ハングリーな挑戦者はワンチャンで命を狙ってくる。
マイケルの座右の銘だって「人は殺せる」。裏を返せば「自分は殺される」ということだ。
安定的な支配のためには震えるほどの実力差と抗いきれない魅力が必要なのだ。
それは家の外だけではない。
むしろ敵はファミリーの内側にいる。
特にマイケルの場合はファミリーの中で一番年下だから軽くみられやすい弱点がある。
マイケルは強い。だからこそ、血の呪いが疼きだす。
歴史にたびたび登場するお家騒動。粛清というやつ。
マイケルは真面目だから。というより真面目だからこそ秩序を優先して手心なしに制裁を与えてしまうから出血が止まらない。
これはヴィトーの失策と言える。
マイケルは本来なら後継者とし地固めされるべきだった。
同世代の仲間と仕事を重ねて信頼関係を築いていればファミリーはもっと安定しただろう。
しかし、あの事件の前までは父親の仕事に反目していたし、父も望んでいなかった。
兄を押しのけたのも良くない。
年齢差は誰にでもわかるが実力を測る物差しはない。
弟に指図されて運転手までやらされると兄としての威厳が丸つぶれ。
フレドの気持ちがぐらつくのは当然よ。
かくして人脈の薄い君主の誕生だ。
マイケルにとって、信頼できるファミリーは自分の息子だけ。
だから妻には一人でも多くの男の子を産んでもらう必要がある。
マイケルがやたら男の子にこだわったのは そこだ。
ちょっと横道にそれるが、コルレオーネファミリーには政略結婚がない。
妹は自由恋愛だし、マイケルは堅気の世界から嫁を迎えた。
兄嫁の実家とは縁がなかったようだ。
イタリアのマフィアとの付き合い方はそういうものなのかもしれない。
そんなわけで男子が求められているのだがマイケルは浮気しなさそうだから奥さん一人で何人子供を産むのかと想像するとウンザりするね。
イエ制度はやっぱりクソだわ。
パート3でのマイケルの奮起に期待する。
ここまで書き連ねてきて、こんなのでゴッドファーザーを楽しめたのか自分でも困惑している。
もちろんヴィトーの過去を描いたパートはとても好き。
国を追われて渡米した痩せっぽっちのあの子が将来ゴッドファーザーになるのだから胸アツだよ。
頼る人がいない世界で懸命に生きるヴィトーの姿には感動した。
そして、こんな子にもチャンスを与えるニューヨークの懐の深さもね。
犯罪に手を染めて真っ当な生き方から転がり落ちていくほど羽振りが良くなっていくところが運命の皮肉を感じる。
そのジンクスがマイケルにも受け継がれていくところも。
やっぱり血の呪いだ。
どうでもいい感想だけど、序盤の葬列が我々世代には馴染みがないので驚きの光景だった。
なるほど。埋葬すら許されないとはそういうことか。
相変わらず変な所見てるの。