ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会(定期映画鑑賞会)5月上旬 新感染ファイナルエクスプレス

昨年人気を博した列車内でアンデッドと戦う男たちの映画。

今年の GW はホラー映画と韓国映画と時代劇をまだ見ていません。
『カメラを止めるな』はホラー映画という感じではないし。
GW 最終日ですが、最後の週末は眺めの会の順番なのでステイホームシリーズではなく眺めの会として扱います。
昨年話題になって興味はあったもののスルーしてしまった新感染ファイナルエクスプレスをチョイスすれば、ゾンビものと韓国ものの二つを満たすことができます。
パンデミックの恐怖をもう一度見つめ直す、などと意識の高いことは申しません。

今回は有料配信のタイトルです。
パニックものなので内容はそんなに難しくないでしょうから字幕版を選びます。

新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕版)

新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕版)

  • 発売日: 2018/01/01
  • メディア: Prime Video

新感染ファイナルエクスプレス。

2016年に韓国で公開されたゾンビホラーアクション映画。
監督はヨン・サンホ
主な出演者はコン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク。
上映時間は118分で言語は韓国語。

あらすじ。

ソウルでファンドマネージャーを務めるソグは仕事で多忙で家族を全く顧みず、妻とは別居、娘のスアンにも寂しい思いをさせていた。
娘が誕生日にどうしてもプサンで暮らす母に会いたいと求めるので、午後にはソウルにとんぼ返りするつもりで始発のプサン行きの KTX に乗車した。
しかし車内にはゾンビウイルスに感染した人間が侵入し、次々と他の乗客をゾンビ化させていた。
車内はパニックに陥ったが、車両の扉を封鎖、ゾンビに噛まれると感染してゾンビ化すると突き止める。
ところがソグは娘スアンが別の車両にはぐれていることに気づく。
同じく、体格に恵まれた無頼の男サンファは身重の妻ソンギョンと離れてしまい、高校球児のヨングクも恋人と離れてしまった。
3人は愛する者を助けるためにゾンビ車両に飛び込む。
KTX はおびただしいゾンビをのせて釜山を目指す。

見終わった感想 100%ネタバレ。

最高のゾンビ映画

時速300 km で移動している列車の中で死闘が繰り広げられるというだけで萌えます。
通路まっすぐに進む以外にない一歩通行で、各ステージが車両単位でブロックに分けられているので、話がわかりやすくて緩急がついてる。
逃げ場のない密室空間に大勢の乗客、たくさんの人生。
ドラマ性も存分に発揮されています。
善人が無残に殺されるけど、悪人はそれ以上の殺され方をするので余計なストレスはありません。
高校球児たちがゾンビ化している姿はいたたまれなかった。
職務に忠実だった最高な男 KTX の運転手さんも助けてあげたかったな。
マ・ドンソク演じるサンファが実にいい味を出していました。
嫌な奴かと思いきや、すんごいいいやつ。
ゾンビ達がひしめく車両をどうやって制圧するか、どんな方策が出るのかと期待したら力押しだったことは痺れました。
パワーだよ。
定期的にやってくるトンネル通過も暗闇の効果も抜群でした。
列車が止まったらどうなるか?
駅に停車してドアを開けたらどうなるか?
軍隊は勝てるのか?
列車の運行が不可能になったらどうするか?
日本でも新幹線の車内で無差別殺人事件が発生しているので、これに近い状況を想定して対応策を考えた人は少なくないと思います。
相手がゾンビだからさすがに灯油で放火するところはありませんでしたが、様々なシチュエーション、全部のっけもりでやりきった感があります。

ゾンビに始まりゾンビに終わる。

主人公のソグが倒産するはずだった企業の株価操作で存続させてしまったために研究中のウィルスが漏れだして事故が起きるという設定のようだ。
ゾンビ企業がゾンビウイルスを撒き散らすとは皮肉なもの。
映画ごとにゾンビの特徴があるのだけど、本作のゾンビは非常に動きが早い、知能は全く無くドアノブを開けられない、そして視覚と聴覚で相手を識別する。
噛まれてからゾンビ化するまでの時間は個人差が大きいようだ。
ゾンビ映画といえば暗闇の中で襲われる恐怖の要素が強いが、本作は始発列車で発車したので時間帯は早朝、明るい所でゾンビ達が元気一杯に飛んだり跳ねたり走ったりします。
ゾンビよりも恐ろしいのはパニック起こした人間 というのはホラーものの作品には共通のようだ。
ゾンビには分け隔てがないが人間は差別する。
やっとの思いで目の前の車両に帰ってきた人たちを感染の疑いで車内に入れないようにするだけでも酷いのに、連結部に追い出すなんて。
ここが一番ゾッとしました。
コロナ禍で我々の日常で行われていることだからです。
そんな連中に嫌気がさして自爆する人が出てもおかしくもなんともありません。
安全な場所の中でも、ゾンビが一匹でも入り込めば、たちどころに全滅するけれども、生存本能が強すぎて疑うことしかできない人間が仲間である人間を分断しても全滅する。
あの車両で悲鳴が上がった時にはちょっと「ざまあみろ」って思ってしまった。
とはいえ彼らの判断を決して否定することはできない。
ウイルス感染の恐ろしいところは、情が厚すぎてもダメところ。
泣き叫ぶ娘を捨てて隔離するなんてファンドマネージャーの冷徹な心が無ければできやしませんわ。
残念だが彼は株価の操作で引き起こったパンデミックの責任として死ななければならなかった。
あのバス会社の役員のおっさん、自己中過ぎて腹が立って仕方がない。
あいつが余計なことをしなければ死なずに済んだ人がどれだけいたことか。
あの手の身勝手キャラは早い段階で自分の身勝手が原因で自滅するのがセオリーですが、しぶとく粘り強く生き残って邪魔してくるので、憎らしいの何の。
見事な悪役っぷりでしたね。

人を救うのは歌。

娘のソアンが学芸会で投げ出した歌の伏線が最後に綺麗に回収されていました。
ゾンビと人間が決定的に違うところは苦しい時も歌って乗り切るところですね。
最悪の結末を想定した自分が恥ずかしい。