ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会・9月上旬『ゴッド・ファーザー』

言わずと知れたギャング映画の決定版。
映画名作ランキングでは必ず上位に食い込む不朽の名作です。
しかし見たことがな~~~い。
半世紀も生きてきて筋書きも知らない。
ただマフィアが抗争を繰り広げるといったぼんやりしたイメージしか知りません。
これまで何度も眺めの会の候補に上がってきたのに、ギャングものが苦手すぎてどうしても乗り気になれない。

言及されることの多い作品ですが、今年に入って推奨される機会がさらに増えました。
これを書きながら気づいたけど、今年は上映から50年なんですね。
U-NEXT が独占配信している連続ドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに掛けた男』もそれに合わせて制作されたのか。

video.unext.jp


個人的には先月『ジョジョの奇妙な冒険第5部・黄金の風』を見てイタリアンマフィアのムードが高まっているところです。
この作品がゴッドファーザーの影響を強く受けているであろうことは私にも分かります。
スタンドバトルという皮をかぶせたジョジョは美味しく頂けましたが、本家本元のゴッドファーザーはどうかな?

配信プラットフォームは Amazon プライムビデオ。
プライム会員特典で無料で視聴できます。
今回は字幕版を選択。
年齢レーティングは PG 12。


ゴッドファーザー

1972年に公開されたアメリカのギャング映画。
続編が製作され、三部作の一作目となる。
監督はフランシス・フォード・コッポラ
原作はマリオ・プーゾ
脚本はマリオ・プーゾフランシス・フォード・コッポラ
主な出演者はマーロン・ブランドアル・パチーノジェームズ・カーン
上映時間は177分で言語は英語とイタリア語。

あらすじ。

ニューヨークのスラム街で暗躍するマフィア、コルレオーネファミリー。
そのファミリーの中で青年マイケルだけは家業と距離を置いていた。
マイケルの父親でありコルレオーネファミリーのドン・ ヴィトーもそれを望んでいたが、そこに新手のファミリーが麻薬ビジネスの利益を狙ってヴィトーに仕掛けてくる。

原作。

原作はマリオ・プーゾの小説。
ハヤカワ文庫 NV から上下巻で出ています。
Kindle 版が見つからなかったので物理書籍を紹介しているのでご注意を。

見終わった感想 ネタバレあるよ。

突然沸き起こる暴力に血がたぎる。

なんとも形容しがたい感覚で感想を書くにしてもどこから手をつけてよいか悩みます。
ただ面白いのは間違いない。
女子供はすっこんでろって世界観だから女性には勧めづらいけど。

本当に筋書きを知らないからめちゃくちゃ緊張したし興奮した。
マイケルが意識不明の父親をヒットマンから守り、これまで距離を置いてきた「ファミリー」に入ることを決断し、奴らの誘いに乗るフリをして暗殺する計画を立て、いざ実行のためにトイレに立つところまで息を飲んで見守りました。

この殺人事件から舞台が急転直下のコルレオーネ村。
広い空と緑の牧歌的な風景の中で誰もが知っているあのテーマが流れた時は体が震えました。
あの曲が! こんなところで! こんな形で使われるとは!

そして束の間の休息に終焉を告げる嫁大爆発。
マフィアとは何の関わりもなく生きてきた女が巻き込まれるとあまりにも残酷。
鬼畜の所業だ! 許せない! と私が憤慨したかと言うと………?
その前にマイケルが隠遁生活を始めた初日に村の娘に一目惚れして速攻結婚したことでドン引いたの。
カタギの元彼女を巻き込まないために別れて田舎に隠れたんじゃなかったのかよ。
しかも、NY に舞い戻ってきたら自分から元カノに会いに行ってしれっとヨリを戻すなかなかのクズぶり。


兄貴が蜂の巣にされた件については 待ち伏せのタイミングが巧妙すぎてマフィアの情報網どうなってんだ?と訝しみを覚えましたが、その理由が身内の裏切りだったとはね。
種馬とか夫婦喧嘩とか違和感ある場面はだいたいあとから説明される。

カリスマとはこういうもの。

マフィアのドンが集まる超会議迫力あった。あの場面は良い。
表向きは紳士的なところが余計に怖い。
あの少ない言葉の中に様々な駆け引きと空気の読み合い。
暴力の使い方は見習いたくないけど、ヴィトーの駆け引き手腕は憧れます。
言葉の上っ面ではなく、言葉にはならない本音を読み取る眼力は是非とも見習いたい。
親父の金言「男は油断するな」はとても良いセリフでした。
敵の攻撃を警戒しろというだけでなく、未来を読み取って備えよと言う教えもあった。
これからのマフィアは裏に籠らず政治家のように表で活躍しろ というセリフにも繋がっていたと思います。

世の中にはカリスマ○○と呼ばれる人が人気を集めていますが、ただ魅力的なだけではカリスマと言うに及びません。
私の中での究極のカリスマはドン・ヴィトーのような人。
人の心を掴むのが巧みな上に有無を言わさない強制力を持っている人こそがカリスマです。
結婚式の日に陳情に来た男のように、自分から借りを作って手駒になってしまう魅力。
相手の方から「何でもやります」と言わせちゃうの。
そして命を惜しまず働く者には手厚い報奨を。
裏切り者には血の制裁を。
これはもう帝王学
マフィアというより武将ですね。
そういう想像を働かせると歴史小説の解釈の仕方にも厚みが出る気がします。

ところでマフィアの人たち、自分の言葉には信念を持っていて交渉の場では言質を取らせないのですが、 絶対約束を守るわけではないのですかね ?
カルロの嫁の最後の質問「私の主人を殺したのか」にマイケルが「いいえ」と答えた裏事情を読み取るのは失敗しました。
カルロの嫁が求めているのは嘘でもいいから一言否定して欲しいってことだから彼の優しさではあるけれど。
私がギャング映画が苦手なのはこういったダークな部分があるからだと思います。
戦国ドラマの方が血まみれ残酷にもかかわらず見ていられるのは、主人公が自分たちの正義を振りかざしているから心を安定させられるのですね。
たとえ嘘でも大義名分・錦の御旗が欲しいんです。

そして最後にゴッドファーザーが三部作と聞いて驚愕してます。
片足突っ込んだらもう抜けられないってやっぱりヤクザの手口じゃん。
今年中に勝負付けます。