ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

GW 映画まつり『時計じかけのオレンジ』

GW 映画祭りもいよいよ最終回。
今日は『時計じかけのオレンジ』です。
タイトルだけは昔からよく耳にするけど、どんな話か全く知りません。
影響力が強かった作品のようですが、何にどう影響したのかは未だに謎。
今年のどこかで見ようと思っていたら、この作品の監督は『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリックでした。
先日2001年を見たばかりで今年はキューブリック祭りですね。

視聴プラットフォームは Amazon プライムビデオ。
字幕版を選択。
年齢レーティングは R 15+です。

見終わった感想 ネタバレ配慮なし。

残虐という言葉では生ぬるい。

最高のスリルでした。
映像が刺激的だし筋書きは理不尽なほど奇想天外でした。
例えるならアウトローストライクコースから手元でバッドが届かないところまでキレるゴリゴリのスライダー。
わかっていてもバットが出る。
お手上げ三振。
タイトルだけでは結末が予想できなかったから最後までドキドキしました。
随分皮肉なオチですこと。
私はネタバレ容認派だけど、この作品は何も知らないまま見られて本当に良かった。
よくぞ50年間未接触のまま生きてこられた。
そして未成年のうちに見なかった自分に拍手を送りたい。
これは有害図書一直線だ。

若者たち特有のスラングが 随所に盛り込まれていて日本語には表現できないニュアンスらしくてわけわからん。
文脈が読み取れずに困惑。
これで挫折する人がいるかもしれませんね。
いやその前に M 字開脚のマネキンを筆頭とする悪趣味な映像の方がきついだろ。
ゲーム・漫画なんて比較にならないくらいバイオレンスがえぐい。
特に性暴力がきつくて見てられない。
こいつはくせえ! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜ!
こいつは生まれついての悪だ。
こんなやつは 地獄の責め苦を受けて当然だね。
弱者に転落して嬲られる姿を見た時もスカッとしたぜ。

丁寧に描かれる純粋な悪意に震えが上がった皆さんご安心を。
無法がいつまでも許されるほど社会は甘くありません。
夜の遊びでヘマして逮捕。
ロボトミー手術的な処置を受けて出所してきた。
その処置の様子が『世にも奇妙な物語』の『懲役30日』のようでとっても怖い。
ロボトミーはフィクションじゃなく現実だからもっと怖いけど。
ロボトミーは手術を受けると無気力になるけど、こっちのは悪い感情が沸き起こると頭痛と吐き気が襲ってくるというもの。
三蔵法師に輪っかをはめられた孫悟空みたいに悶え苦しむ。
漫画でもよくある設定で乱暴者はこれで制裁されるんだけど、リアル社会はフィクションじゃないから懲らしめ方が手加減なし。
残念だったね、こちらも人間、残虐な生き物なんだ。
因果応報。
正義の鉄槌って気持ちいいね。
あまりの気持ちよさに公権力の濫用をうっかり見過ごしてしまいました。
犯罪者は取調室でボコられてもオッケーだし、刑務所で全裸にされて尻の穴を確認されても問題ナッシング。
悪徳警官に手錠をかけられリンチされても非道だとは思わない。
大衆というのは実に愚かでナイーブだ。

原作は小説で結末が少し違うらしい。
原作だけでも面白いけどインパクトの強さは監督の手腕が大きいと思う。
何しろ映像がとっても前衛的。
謎のアイテムがバキッと鮮明な映像で続々と出てくるところが不穏な感じでとても良い。
YouTube チャンネルの『圧倒的不審者の極み』のような感じ。
アダルトアイテムコレクターのおばさんのリビングに飾られていたペニスの置物を揺らした時の動きがたまらん。
ご丁寧に金玉までついて行ったり来たり揺れるのな。
何だあれ。
インテリアの色使いとか音楽の使い方とかセンスいいんだよね。
ロゴもおしゃれだし、エンドロールの色づかいもよかったね。
お母さんのファッションが気になってしょうがない。
ちびまる子ちゃんみたいに白のブラウスで赤いスカート。
歴史に残すべきファッションセンスだと思う。


万人向けとは言い難いが むき出しの悪意を楽しめる人には勧められると思う。