ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

GW 映画まつり『プラダを着た悪魔』

これまで見逃してきた不朽の名作を見ると決めた今年の GW 映画まつり。
今回はちょっと趣向を変えて女性向け作品を選びました。
選んだのは『プラダを着た悪魔』です。
強制的にチャンスを与えられなければ一生見ないであろうタイトルです。

視聴プラットフォームアマゾンプライムビデオ。
有料コンテンツとなっています。

見終わった感想 ネタバレするほど深くはない。

業界が生み出したファッションデビル、その無駄のない手練手管。

おしゃれだね。
綺麗だね。
かっこいいね。
生き馬の目を抜くファッション業界の最先端で しのぎを削る人たちの情熱が分かりました。
私のようなおじさんにとってはファッション業界ってわかりづらい。
パリコレの意味が分からなくてずっと冷たい目で見ていました。
奇抜すぎて恥ずかしくて着られない服ばっかり出てきて 誰がどこで着用しているのか理解不能でした。
そんなファッション弱者の私にも息をのむほどの美しさがありました。
パリコレで世に現れた色合いや手触りが10年以上の時間をかけてコピーを繰り返されながら普及して手頃な価格となりおしゃれに疎い人の手にまで届くのですね。
パリコレはファッションが生まれる場所。
ただそれだけではなく、文化もそこで生まれている。
街全体がオシャレだったな。
パリコレの衣装の強さに負けないショーウインドウ。
眩しいウィンドウが似合う建物。
その建物を包み込む町。
パリのファッションから美しさが伝播していく。
ファッションは生活の中の芸術。
芸術の歴史のために人生を捧げたい。
業界のために寸暇を惜しんで働く情熱すら美しい。


とシンプルにサクセスストーリーを楽しむ気にはなれない。
パワハラ上司に罵られながら丁稚奉公を要求する業界に拍手するわけにはいかないでしょう。
アシスタントにペットの世話をさせる働き方のどこが かっこいいのか ?
カバン持ちを連れて歩くのが前提のファッションのどこが美しいのか ?
カーペットが敷き詰められた冷暖房完備の建物しか歩かない靴のどこに魅力があるのか ?
たん水化物を食べただけで見下される食生活のどこが理想だろうか?
その場所は美しく見えるけど地獄じゃ!!
そこに引っ張り込むのは悪魔じゃ!!
自分たちが美しくあるために弱いものを踏みつける悪魔じゃ!!
まさにタイトルが示す通り悪魔の紹介。

この作品で描かれる世界は完全なギルティ。
古臭いだけでは済まない。
ポリコレ的には健康を無視した体型維持は有罪。
SDG‘s 的には環境に配慮しない商品づくりは有害。
求心力を失ったファッション業界の徒花、最後のイタチっぺ。

それにしても時代のアップデートはすごいね。
たった10数年でかっこいいものが間違ったものと断罪されるようになるとは。
女性向け作品は往々にしてこういうことがあるから困る。
価値観が反転して 公開当時には名作だったものが見てるだけで嫌なものに変わってしまうから。
コメディ作品にも微妙な空気感にしてくれる場面はあるけれど女性向けの作品が一番きつい。

ところでファッション雑誌の編集長の Assistant ってそんなに給料いいの?
アパートの家賃を稼ぐために始めた仕事って設定だったと思うんだけど、その給料で一流ブランドのファッションを身にまとえるものだろうか?
生活費もかかるよ。
イケイケコーデなのに安アパートに姿を消したら失笑もんだからね。
業界人だからってタダでもらえるわけでなし、どんな錬金術があるんだろう。
親が資産家だったら興ざめだよ。