ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会・4月中旬 『劇場版名探偵コナン ゼロの執行人』

春公開映画といえば。

GW 前になると 新作が公開されて話題になるのが名探偵コナンの劇場版。
地上波で過去作品が放送された今週の話題になっていました。
このシリーズは妻きっかけで見るようになり、娘もハマって何度も付き合いで見ました。
どの作品も面白くて好印象。
特番の VS ルパンだってみました。
とはいえ最近はご無沙汰。
新しい登場人物にはついていけていません。
シリーズが Amazon プライムに登場。
気軽に観られる環境になりました。
この機会にぜひ一つみたい。

今回選んだのは『ゼロの執行人』
比較的新し目の作品で東京が舞台ということでチョイス。
私はまだ見てない作品です。

視聴プラットフォームアマゾンプライムビデオ。
プライム会員特典で無料で視聴できます。
年齢レーティング全年齢、もちろん家族で見てもオッケー。


劇場版名探偵コナン ゼロの執行人

2018年に公開された日本のアニメ映画。
青山剛昌原作の週刊連載漫画『名探偵コナン』の劇場版アニメで、シリーズでは22作目にあたる。
監督は立川譲
脚本は櫻井武晴
原作は青山剛昌
主な声の出演は高山みなみ古谷徹山崎和佳奈

あらすじ。

東京サミットの会場爆破事件の容疑者として毛利小五郎が連行される。
江戸川コナンは小五郎の無実を証明するために奔走するが、謎の多い青年安室透が立ちはだかる。

見終わった感想 もちろんネタバレ含む。

意欲的なストーリーだとは思うが初見で理解するのは難しい。

名探偵コナンをなめてました。
子供向けアニメでここまでハードな警察組織が描かれるとは思いませんでした。
振り返ってみてもまだわからない。
最近のコナンってこんなになってるのか。
それとも本作が例外的にこうなのか。
自分が知っているコナンとは明らかに方向性が違う。
「コナン、殺人事件に遭遇しすぎ」とか散々チャカしているけど、いざ殺人が起きない作品を見せられるとやっぱり物足りない。
そう、この作中では直接的には誰も死なないんです。
探偵団が難ミッションを成功させて活躍する場面でも危険なことに巻き込まれてない。
今回はリモートでドローンを操作と言う安全安心設計。
初期作の刺激に慣れているとやっぱり物足りない。
黒の組織が出てくると血生臭いと言う次元ではない。
コナンの麻酔針も封印され小五郎を失神させる場面もなし。
真犯人が IoT テロった理由が民間人を事件に巻き込まないためと言う予防線の張り具合。
色んな所に配慮してますね。

やっぱり探偵ものは死体が出なきゃ。
ぎょっとするような変死体ね。
本作では毛利小五郎の容疑を晴らすことが本筋になっているので 「登場人物の誰が犯人だ 」という謎解きスリルが少ないんだ。
犯人が出てきて自白してもすっきりしない。
誰が悪いとか良いとかはっきりしないもやもやする展開だから理解するのに手一杯。
誰がどの組織に所属していてどういう理屈で動いているのか非常にわかりづらい。
事件の鍵を握る人物たちの人間的掘り下げが浅くて共感できないし憎むことができなかった。
真犯人のゆがんだ正義感に対して誰かがすかさずにツッコミを入れるべきだったのではないか。
自殺に追い込まれた経緯も分かりにくい。
その悲劇を補強するためにも具体的エピソードが欲しかったところ。
例えば裁判官の試験に落ちてやさぐれているところ、恋人の弁護士との楽しい時間など。
事の顛末をセリフで語られても プロット読まされているみたいでつまんないよ。
犯人の強い動機が伝わらないんじゃ推理モノとしては失敗していると思う。

ではアクション映画として優れていたかと言うと、そうではない。
高速で落下する探査衛星の進路をドローン爆薬で変更すると言う現実離れした解決方法をとっている割にはアクションがしょぼい。
そのリアリティラインで繰り出されるカーアクションがすごいスピードで走るだけというのは何とも………。
カーチェイスの相手すらいないのに片輪走行だけして 安室透がかっこよく描けたのだろうか、激しく謎。

今回の主人公はサブタイトルでも示されるとおり安室透。
本作で彼を深く知れたかな?
彼の行動原理は最後まで謎が多かった。
過去の捜査ミスを清算したいというのが今回の大きな動機だったようだけど、 立場を超えた信念が読み取れなかった。

安室透はシリーズの中でも群を抜く人気キャラだと聞いている。
彼がフォーカスされたのが功を奏したのか本作の興行収入はよかったようだ。
私にとってこの路線は納得いかなかったけど市場の反応は高評価だったということで当面はこの方向性で作られていくのだと思う。
長期シリーズとなるといつまでも同じ所に止まっているわけにはいかない、新しいことにチャレンジしなければならないというのは分かるんだけど 私は切り捨てられる側かな。
それならもうコナンシリーズはいいかな。
警察ものを見たかったら相棒の劇場版でいいわ。


こんなことならくだらないサメ映画でも見ておけばよかった。
と呆然としながら迎えたエンディングの東京湾の景色は良かった。

注目の人物・櫻井武晴

脚本を担当したのは櫻井武晴
劇場版名探偵コナンシリーズでは4作目の脚本担当となる。
テレビ朝日の人気刑事ドラマシリーズの『相棒』や『科捜研の女 』などの脚本を手掛ける。

実写の刑事ドラマの見ているような錯覚に襲われて『相棒でやれ』 と突っ込みを入れたくなったのは間違いじゃなかった。

経歴を見ると相当な手練れです。
活躍舞台がアニメに変わっても日本の刑事物の良い所と悪い所が凝縮されてましたね。