ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会(定期映画鑑賞会)8月上旬 サマータイムマシン・ブルース

梅雨も明けたので夏映画を見たい。

長い梅雨も終わって夏本番がやってきました。
久しぶりに見る太陽と青空に頭くらくらしています。

新型コロナウイルスの流行第二波の影響で私の生活は再びステイホームモードへと移行しました。
しかも今回は地域で初めての陽性判定者が出ました。

せめて映画だけでも夏を味わいたいなと思ったところまではよかったものの、まさにこの時期にふさわしい映画のタイトルがひとつも出てきません。
そこで「夏に見たい映画」で検索してしまうという情弱ポンコツぶりを晒しながらタイトルを選ぶことにしました。


そんな消極的な動機で選ばれた映画が「サマータイムマシン・ブルース」です。
制作した人たちに対して失礼極まりないですね。

配信プラットフォームは Amazon プライムビデオです。
プライム会員特典で無料で視聴できます。


サマータイム・マシン・ブルース

サマータイム・マシン・ブルース

  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: Prime Video

サマータイムマシン・ブルース

2005年に公開された日本の映画でジャンルは青春コメディ。。
上映時間は107分、言語日本語。
監督は本広克行
脚本は上田誠
主演は瑛太上野樹里与座よしあき川岡大次郎ムロツヨシ永野宗典本多力

あらすじ。

SF 研究会に所属するポンコツ男子部員5人。
草野球やゲームなどに明け暮れて学生生活を楽しんでいる。
夏休みにも関わらず毎日部室に集まって遊ぶのだが、平穏な日常の中にわずかな不可解な現象が起きる。
そんな時に突然部室に正体不明の乗り物型のガラクタが現れる。
部員達はがらくたについている部品からタイムマシンだと言い始めた。
暇を持て余した部員は冗談まじりで一人を装置に跨らせてレバーを引かせる。
すると乗り物は突然動き出して姿を消して、設定された昨日にタイムスリップする。
タイムマシンが本物だと気付いた5人は楽しいおもちゃを手に入れたことに味をしめて、昨日壊れたエアコンのリモコンを過去から 手に入れようとタイムスリップする。
現在に残された部員が過去の書き換えで世界が壊れることを知って、過去の世界でいたずらをする部員達を呼び戻そうとする。


見終わった感想をネタバレとともに。

納得満足の面白さ。

めちゃくちゃ面白かったです。
声出して笑いました。
私はそんなにゲラゲラ笑うタイプではないのですが、さすがにこの作品は我慢できませんでした。
ポンコツ男子大学生たちが和気藹々とキャッキャしながら全身全霊をかけて悪ふざけをする様子がおかしくてたまりません。
やること・考えることが小学生男子。
小学生を主人公にして少年ジャンプで連載しても破綻しないくらいには「小学生スケール」です。

タイムマシンという壮大なテーマなのに、「エアコンのリモコンが壊れた」ことだけで話が終始します。
しかも時間の移動はたったの1日。
こんなスケールの小さなタイムマシンストーリー、これまでにあっただろうか?

でも、このスケール感がちょうど良い。
大きな話の方がロマンは溢れるけど、凡人にとってはリアリティーがありません。
そんな冒険に自分が巻き込まれるイメージが思い浮かばない。
エアコンのリモコンを壊れるくらいがちょうど良い。
そんな学生生活も捨てたもんじゃありません。
退屈な毎日、平凡な生活の中から少しでも楽しいことを見つけよう全力で打ち込める仲間がいるって素晴らしい。
ひと夏の恋に縁がなかった人にとっては、これこそが青春じゃないですか?

私にとって心地良いのがもう一つ。
舞台設定が2005年なのに昭和感が満載です。
男ばかりの文化系サークルで青春時代を過ごした人にとっては 昨日の自分の出来事だと錯覚するくらいです。

懐かしくて、楽しくて、自分がタイムマシンに乗ったかのような107分でした。

テキストでは伝えられない面白さ。

この映画の面白さは部員たちの掛け合いが大部分を占めるのでテキストでは伝えられないのが残念です。
なんとか伝えようと2000文字くらい書きましたが、これじゃないなと感じたので大幅カットしてしまいました。
お笑いコントの面白さを伝えるために台本を読ませても意味はありませんよね。
とにかく、ボケの間の取り方とツッコミの切れ味の鋭さの緩急のつけ方が素晴らしい。
この技は熟練のお笑い芸人にしかできないから、きっと芸人を抜擢したのだろう、誰この人!?と思って調べたらムロツヨシでした。
ものすごい存在感で爪痕どころか牙で喉笛を食いちぎられる勢いでした。

この時彼はまだ知名度はそれほど高くなく、この作品が出世作になったと言っても過言ではないようです。
ムロツヨシ恐ろしい子………。

もちろん他の部員達の演技も良かったです。
河童になった部員のいじられっぷりはもう最高。
謎のガラクタを収集する所なども、オタクグループ特有のノリがよく表せていました。

この面白さは是非とも見て体験していただきたいです。

見事な脚本。

脚本が良かったですね。

SF 研の部員5人に未来から来た田村を加えて6人。
顔と名前の一致すら怪しいのに、それぞれの欲望に任せてバラバラに行動し始めます。
そこからさらにタイムマシーンで行ったり来たりするので同じ世界に最大12人が存在するややこしさ。
それなのに話が非常に分かりやすかったです。

それはメンバー間のやり取りでセリフの中で説明されているからです。

説明的台詞を多用されるとしらけることが多いものですが、上手に防いでいます。
説明場面には必ず事情の飲み込めていない登場人物がが混じっていて、観客ではなく彼らに説明するので違和感がありません。

しかも SF 研の部員はポンコツだから、一度の説明では理解しません。
明後日の方向に誤解するので軌道修正するために2回目の説明が入ります。
同じ説明を繰り返されると、分かっている人にとってはまどろっこしい時間になってしまうものですが、その説明の中にもボケとツッコミの笑いどころを必ず盛り込んでいて、絶妙に予測を裏切りながら笑わせてくれました。

時間旅行で複雑になった関係も大丈夫。
リモコンがどんな時間旅行をしたのか、研究員のホセが図解して説明します。

それでも最後まで理解できなかったポンコツ部員もご丁寧に用意されていて、タイムスリップの面白さを理解できなかった観客に対してもフォローしてくれます。

わかりやすくて親切設計で面白かった。


溢れ出す昭和感。

物語の世界は設定上2005年となっています。
これは映画が公開された2006年に合わせていると考えられますが、出てくる小道具の時代感が完全に昭和です。
ああいうデザインのエアコンは小学生の頃に僕も使っていたよ。
あのデザインのエアコンはリモコンじゃなくて有線の時代だったように記憶しています。
部室に置いてある小道具も昭和60年頃 のものが多いです。

など昭和末期から平成初期を彷彿とさせるものばかりでしたね。
特にマネキンがセーラームーンの衣装じゃなかったところが大きいです。
絶対これ90年以前ですよ。
2005年だったら、ガンダムのポスターの横に絶対エヴァンゲリオンのポスターを貼られているはずです。
お約束として携帯電話の登場をチェックしましたが、留守電にメッセージを入れるところで一度出てきましたね。
そこだけが唯一21世紀らしかったです。

もちろん時代設定にケチをつけたいわけではなく、ノスタルジックを楽しむ要素として注目できました。
下町の日常風景、銭湯もミニシアターのちょっとウザめなおじさんも もはや映画でなければ見られない姿ですからね。

そういえば先日見た「鴨川ホルモー」が昭和60年頃の大学生サークルの話だったことを思い出しました。
この時代を描いた作品が多いのだろうか?それとも心が無意識にこの時代を求めているのだろうか?


あと忘れそうだったのがヒロインの可愛らしいところ。
あんなキュートな感じの女子は昭和にはいません!
あんな子が部室を出入りしてたら絶対入部希望しちゃいますよ。
主役の瑛太以外は全く興味を示さないところが SF 研究会のポンコツ具合をよく表してますね。

そういえば瑛太が主演を務める映画「殿利息でござる」も先日観ましたね。
そんなにたくさんの映画を見ているわけではないのにこのヒット率。
こちらも無意識に引き寄せられているのでしょうか?
彼はまだ二十代。
若くて瑞々しい感じでしたね。
この作品が映画初主演 だったようです。

もうこの時代から、ちょっと強引な周りの人達に振り回される人の良いお兄ちゃんの役回りだったんですね。
ちょっと困惑した表情の作り方がうまいんだ。

続編は劇場で。

この映画、物語のほとんどが部室と銭湯の2箇所で行われるミニマムな脚本だなと思ったら、演劇のために書かれた戯曲だったんですね。
つまり映画以外の形で、と言うか生物で見れるんですね。

面白い作品だったので続編が気になるところです。
サマータイムマシン・ワンスモア」というタイトルで演劇場で見られるようです。
あの事件から15年後という舞台設定ですから、今年ということになりますね。
こいつはタイムリーだぜ。


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この作品を企画しているヨーロッパ企画のオンラインショップでブルーレイ DVD で入手することも可能です。
サマータイムマシン・ブルースサマータイムマシン・ワンスモアのセットで超お得。
Amazon では手に入りませんよ。

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