ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

GW のステイホームで見る映画はこれだ 4本目 勝手にふるえてろ

恋愛映画は難しくて避けがちだったのでチャレンジしました。
うーん、失敗でした。
女性向け作品でまさかこんなに心にズドンとくるとは予想外でした。
作家・綿矢りさと女優・松岡茉優、完全にナメてましたわ。
これは1日一本ペースではなくて、眺めの会で見るべきでした。
これの感想はたかだか500文字程度には収まりません。
後悔してますごめんなさい。
しかもプライム会員で無料で見られちゃったよ。

勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ

  • 発売日: 2018/05/06
  • メディア: Prime Video

理想の男性を追いかけるのか、理想には程遠いが追いかけてきてくれる男性を選ぶのか、女性向け作品では王道中の王道ストーリー。
結論としては、理想の男性は浮気しないか不安で結婚しても幸せを感じられないけど、一段下に見れる追いかけてくる男相手なら遠慮なしの屈託のない自分でいられるという身も蓋もない話。
片思いなんて相手のこと何もわかっちゃいないんだから、結婚は好きな相手よりも居心地のいい相手を選べという結論。
誰もが薄々気付いているだろうし、この映画でも真っ先にそれを宣言している。
恋愛ドラマなんて得てして結論から先に出ているわけで、この映画も結論が分かった上でそれを丁寧に描いている。

ちょっと風変わりなサブカル女子の24歳 OL ヨシカ が主人公。
中学時代の同級生のイチの思い出を10年間舐め回しながら一人暮らしをエンジョイ中。
自意識過剰が極まって恋愛の駆け引きを蛇蝎のごとく嫌って全てから距離を置いて遠巻きに物を見ており、まるで恋愛に興味がないのかと思いきや、同僚の霧島から告白されて舞い上がる。
調子づいたヨシカは霧島の半ば強引な迫り方を参考にして同窓会を企画して10年間想い続けたイチとの再会を果たす。
イチは運動会の時に告白めいた言葉をくれたので、ある程度自分に好意はあるはずだと信じて付き合おうとするのだが………。

前半は彼女のイカレっぷりが存分に発揮されてひたすらシュールで恋愛とは程遠い。
最初の15分くらいは退屈でつまんなくて正直辞めようと思ったくらい。
通りすがりの人とこんなに仲良く会話する女、いねえよ。
哲学的で面倒くさい人生観を並べ立てるって、攻めまくった2時間ドラマかと思ったよ。
コミュ障の価値観はある程度分かるけど、サブカル女子の生態系には詳しくないので、「そこ、そうやって感じるんだ?」 と衝撃を受けることもしばしば。
あんなに強引な誘われ方なのに行くんだ?
どう見てもドン引きなダサい男なのに告白されるのは嬉しいんだ?
処女非処女で女子同士もマウンティングし合うんだ?

夜な夜な Wikipediaアンモナイトの項目を読み漁る、そしてアンモナイトの化石を手に入れてニヤニヤする、 まあ確かにサブカル系あるある ではあるけれど、 女子というよりはおっさん?
でもこれらの話が後々に伏線として効いててびっくり。
都会で他人に無関心に暮らす我々。
特に自意識過剰で他人と距離をとりたがるサブカル系の人間たちは絶滅に向かって進化の袋小路に入ろうとしているのではなかろうか?
ホタテの貝ひものようにねじれていないで、もっとストレートに野蛮に愛を語らい会わねば。
せめて人の名前くらいちゃんと呼べ。
涼しい顔して無関心を決め込むことがかっこいいと思っているのは素直じゃない。
高杉を出木杉くん、霧島のことは(1と2を間違えることから)2と呼ぶ ヨシカのねじくれたところがイチにはねじれた形で伝わってしまい、ブーメランとして返ってくる。
タラレバはないけど、中学生の時にアンモナイトの話ができていればね。
………そううまくはいかないかな………?
頑張って話しかけたシンプソンズの話も記憶に残ってなかったし?頑張って感謝の言葉を伝えた編み物おばさんにも怪訝な顔をされたし、サブカル体質の人って、頑張ると滑ることが多い気がする。
その経験から野蛮なことを嫌って視野の隅っこで相手を見る習慣をつけてしまう。

そろそろ時間が迫ってきたので締めに入らなければ。

松岡茉優は演技の幅が広いですね。
コメディも恋愛もちゃんとできるし、歌って踊れる。
映画の中で突然歌って踊り出すやつ、すごく苦手で、急に気がそれて話が頭に入ってこなくなるんだけど、不思議とこの作品では気持ちがシンクロできました。
もしかしてディズニーのノリと翻訳が肌に合わないのだろうか。
IT長者の同級生の部屋でイチと会う日の朝イケイケな歩き方もとても良かった。
妄想力が強すぎて相手を不安にさせるキャラクター作りのよろしかった。
急に会社を辞めると言い出した時の理由も、嘘か本当か判別がつかんかったよ。


大喧嘩した同僚のくるみのことはちゃんと名前で呼ぶのね。


すごく良い映画だったけど、何に震えるのかピンと来なかったけどまあいいや。