ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

今日も映画を見るよ 万引き家族

先日いよいよ Amazon の軍門に下って Amazon プライムビデオに加入してしまいました。
こんなに Amazon にお世話になっているのに、加入しないとは愚か者だね。

まあそれはともかく、30日間無料トライアルということで、このコロナ連休を使っていっぱい映画を見ることにしました。
コロナ連休って、障害を理由に働いていないお前は人生が大型連休だろとツッコミは甘んじて受け流しつつ、10本を目標に視聴したいと思います。

今回は是枝裕和監督の万引き家族です。
これまでアクション映画が続いていたので、偏りを防ぐためにしんみりした映画も見ておこうかなと思いました。
そこで男はつらいよでも見るつもりでプライムビデオの一覧を眺めていたら視界に飛び込んできたのでなんとなくクリックしました。

私が利用したのは Amazon のプライムビデオで、日本語版です。
お好きなプラットフォームで視聴してくださいね。

万引き家族

万引き家族

  • 発売日: 2019/04/03
  • メディア: Prime Video

概要。

2018年に日本で公開された映画で、監督・脚本・原案は是枝裕和
上映時間は120分。
レーティングは PG12なので、12歳未満は保護者なしには視聴できない。


公式サイト。
gaga.ne.jp

Wikipedia の項目。
ja.wikipedia.org

キャスト。

柴田治:リリーフランキー
信代:安藤サクラ
初枝:樹木希林
亜紀:松岡茉優
祥太:城桧吏
ゆり:佐々木みゆ

あらすじ。

再開発著しい都会の真ん中に、時代に取り残されたかのようなおんぼろ屋が一軒あった。
その家に暮らす5人、一見すると平凡なだらしないだけの貧乏家族に見えたが、その正体は足りない生活費を万引きで補って生計を立てる犯罪者共同体だった。
そんな家族が行き場を失っている女児を保護する。
幼い女児は激しい家庭内暴力とネグレクトで行き場をなくした子だった。
倫理観の欠如した万引き家族だったが、 人の情けは失っておらず、誘拐と知りつつも女児を家で生活させる。
家族は万引き生活とともに女子と次第に心を通わせて家族となっていくのだが………。

見終わった感想。

結末が明確なアクション映画と違って、ネタバレなしに感想を書くのは非常に難しい。
でも、深く心に突き刺さるものがあって大変良い映画でした。
終盤にかけての怒涛の展開には予想を上回る緊迫感がありました。
万引き家族というタイトルが強烈すぎて、このけしからん家族を叱ってやりたい気持ちで見始めましたが、万引きを美化するわけでもなく屁理屈で言いくるめることでもありませんでした。
この映画を万引き誘発作品と評価するような人、多分その人は作品を見ていないか、途中で寝ていた人だと思います。
万引き家族ってそういう意味だったんですね。
万引き家族というタイトルには、単純に万引きをする家族だけでなく、いろんな意味が込められています。

ワイドショーなどで不幸な家族の話を聞くたびに、家族って何なのか?とやり場のない悲しさに襲われることは誰にでもあると思います。
この映画には、そんな不健全な家族がいくつも出てきます。
むしろ世の中は人間関係が崩壊した形だけの家族ばかりと言っても過言ではありません。
万引き家族は、その一つのパターンに過ぎません。
現代の社会制度は多くの人にとって都合よくできていますが、そこから溢れる人は確実にいます。
どんな社会システムを設計したところで、乗れる人と乗れない人に分かれるのです。
特に現代のような高度に複雑な仕組みになっていること、その格差は激しい。
ましてやその変化が早いとなれば、情報にアンテナを張れない人は気づかないうちに置き去りにされてしまいがちです。
そんな社会の最小単位「家族」が何を根拠につながっているのか、考えるほどわからなくなりますね。
それを安藤サクラ演じる信代は「捨てたものを拾っただけ」と力強く言い放つ。
松岡茉優演じる亜紀は 「家族は肉体でもなくハートでもなくお金で繋がっている」と喝破しますが、最終的にはおばあちゃんを通じて家族とお金で繋がっていたことが発覚するという、皮肉とも救いとも取れない複雑なところに落ち着きます。
これ以上は私の実力では当たり障りがありすぎるのでやめにします。
もう一つ私から言えることがあるとすれば、刺激の強いお色気場面も含むので、家族と見ると居心地が悪いかもしれないので気をつけてくださいということですね。
とっちらかった狭苦しい部屋に壮年の男女が暮らしているのだから、そういうシーンを描かないわけにはいきませんね。
生活臭溢れる中での生々しい情事はエロいと言うかグロいと言うべきか。
都会でおしゃれに暮らす美男美女がイチャイチャする物語がいかにファンタジーか思い知らされました。

最後に。

男はつらいよを見るつもりで急遽進路変更した万引き家族でしたが、偶然にも非常に似通った背景を持っていました。
寅さんが生まれた葛飾柴又がご近所さんを失いつつビル街になったと想定してリアル目に再現したら、 こんな感じの物語になるのかもしれません。