ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

『田毎蒸し』という料理をこの歳になって初めて知る

入院中は定期的にこみ上げてくる吐き気によってなかなか食欲も湧かなかったのですが、それでも美味しく頂けた献立もありました。
その中でも特筆すべきと思ったのは『田毎蒸し』でした。

病院では昼と夜の食事は選択制で A と B のどちらかを選ぶのですが、献立表にはイメージがわかない料理だって出てきます。
その筆頭が田毎蒸し。
蒸してある以外何もわからない………。
読み方すらわからない………。
看護師さんに訪ねても分からない様子。
でも対抗馬が気乗りしないメニューだと、ダメ元で頼んでしまいますよね。

選んだことを忘れた頃に提供されまして、蓋を開けたら卵が入った不思議な料理でした。
食事を手伝ってくれる看護師さんの説明でも「目玉焼きみたいなやつが乗った何か」としか形容してくれなくて、自分で器を覗いてみましたが、やはり「目玉焼きみたいなやつが乗ったなんか」としか言いようがありませんでした。

食べてみると説明は比較的簡単です。
「茶碗蒸しとおでんを足して2で割ったような感じ」
優しいお出汁の味が 魚と野菜にしみて美味しいです。
小さいおでんを独り占めして食べている気分で楽しいです。
特に卵にだし汁をかけながら食べるのが最高。
だし汁もまろやかになるし、おでんの卵が大好きな人にはたまりませんよ。
名前から想像してどこかの郷土料理だろう、日本は広いないろんな料理があるなと感じながら食べました。

やっと元気が出てきたので調べてみましたが、長野県千曲地方の料理のようですね。
たごとむしと読むらしい
山のふもとの棚田の空に浮かぶ美しい月を卵に見立てた料理のようですね。
写真を見ると確かに料理にしたくなる美しさです。
半世紀近く生きていながら何も知りませんでしたわ。

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作り方は比較的簡単。
魚・筍・椎茸などを茶碗蒸しの器に入れて、上から卵を割って蓋をして蒸し器で蒸した後にだし汁を注ぎます。
鶏肉や豆腐や練り物を入れても良いです。
おでんのようにたくさん仕込まなくても良いのがいいですね。
作りきりだから食べ過ぎの心配もありません。
茶碗蒸しと違って卵液の固まり具合を気にせずにすむので初心者にも失敗しづらいと思います。
もちろん具材の自由度も高く、昨日の料理に使いきれなかった残り物を組み合わせても成立しますね。
これは良い料理だ。
長野の人達はなぜこれを広く伝えてくれないんだろう、 意地悪だなぁと軽く逆ギレしてみたい。

是非お試しあれ。