ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会・定期映画上映会 7月下旬 「SPEC 天」

スペック~警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿~

今週も巡ってきました。
個人的な映画上映会、眺めの会。
今回は長編ドラマの劇場版に挑戦します。

堤幸彦監督の人気シリーズ SPECです。

Amazon プライムを始めた事を娘に話したら、暇ならスペックを見ろと猛烈にプッシュされましたのでシーズン1は4月くらいから時間を見つけてコツコツ進めていました。
と言うか、このドラマは娘が小学生の時からドハマリしていて, ことあるたびに勧められていたんです。
監督が堤幸彦だからトリック好きなら見ようぜって。
だけどタイトルに警視庁とか公安と入っているので、刑事物はもうお腹いっぱいなんだよなとスルーしてきました。
でも視聴する環境と時間が 確保できる環境なら特に断る理由もありません。
堤監督を信じて手を出してみるかと決断しました。

ただし眺めの会は映画を見て感想を書く活動です。
ドラマは何本見たところでカウントされません。
シーズン1を完走したところで紹介したいと思ったものの、ここに書くわけにはいきません。
ぐぬぬなんとかしたい。

しかし救われました。
人気ドラマには必ず劇場版があるのです。
そしてスペックにも劇場版の存在「 SPEC 天」が明らかになったので上映会のタイトルとして視聴することにしました。

ただしひとつ注意点。
このシリーズは順番が分かりづらい。

プライムビデオはシーズン1の視聴が完了した時点で 、次はSPEC 天を見るようにと促してきましたが、シーズン1と天の間に 特別ドラマ版の 「SPEC 翔」があります。
SPEC 天をドキドキワクワクしてクリックしたのに、話がすごく飛んでよくわからなかったので慌ててネットで検索したところ、順番が違うと判明しました。
ドラマに限らず、続編を作る際にナンバリングを行わない作品を見かけますが、ライトファンにはとても使い勝手が悪いですよね。
時系列が関係ない作品群ならともかく、完全な続編の場合はサブタイトルだけでなくナンバーも記して欲しいものです。

視聴する順番は、ドラマ版のシーズン1、 SPEC 翔、 SPEC 天、 SPEC 結です。
ドラマ版はサブタイトルが「起」という位置づけにあるようで、 起承転結になぞらえてあるようです。



前置きが長くなりました。

配信プラットフォームは Amazon プライムビデオ。
シーズン1については期間限定の今月7月末日までの配信となっているので急いだ方が良いでしょう。
先月地上波で再放送されたようなので、心配無用ですかね?

こちらは地上波で放送されたドラマ版。
1時間枠の番組で10話まであります。



こちらは映画公開前に放送された特別ドラマのようです。
連続ドラマ版の10話の後の話になります。
2時間の枠で放送されたのかな?内容は90分程度です。



劇場版です。
2時間です。

劇場版 SPEC 天。

2012年に日本で公開された映画でジャンルはサスペンスコメディ。
TBS の連続テレビドラマシリーズの続編にあたる作品。
言語は日本語。
上映時間は119分です。
監督は堤幸彦で脚本は西荻弓絵
主演は戸田恵梨香加瀬亮

あらすじ。

理屈では説明できない不可解な事件を扱う未詳事件特別対策係という部署に配属された当麻と瀬文。
不可解な事件を追うたびに、理屈では説明できない手段で犯罪を行う超能力者が実在することを知る。
この日本に超能力者は 何人も存在していることと、彼らを要注意人物スペックホルダーとして調査する公安部の謎の組織が存在することも判明する。
現代の科学では説明できず、法律にも適用できない犯罪者たちをさばくには超法規的な対応ができる組織が必要だったのだ。
一方国家権力以外にもスペックホルダーの存在を知る組織があった。
彼らは影で国家を牛耳るために超能力者を利用して世界を操っていた。
二つの大きな権力の間でスペックホルダーたちは都合よく利用されて邪魔になったら消されてしまう。
スペックホルダーの苦悩と恐怖を利用して、時間を止める能力を持った ニノマエはスペックホルダーを組織して両者に対抗して世界に君臨しようと企む。


見終わった感想。

テレビドラマ版と SPEC 翔。

堤幸彦味です。
テレビ朝日のドラマトリックシリーズが好きなら間違いなく楽しめると思います。

主演の戸田恵梨香が(Trick仲間由紀恵が見せたように)ちょっとやばい女を振り切れるまで演じてくれます。
天才的な頭脳の持ち主で文字を一瞬で記憶して読み取ることができるが、性格はガサツで中身はほとんどおっさんという役柄です。
この戸田恵梨香が演じる当麻紗綾は現在女子が憧れる男に依存しない女。
いつも行きつけの餃子屋で焼き餃子5人前茹で餃子5人前を食べていてニンニク臭いという厨二病女子にはドンピシャのキャラクター。
娘が急に餃子餃子と言い出して京都大学とか公安とか言い出したのはこのドラマの影響だったか。
コメディパートに埋め込まれているギャグはおじさん向けですが、主人公のキャラクターは女性の共感を呼ぶかと思います。

ドラマの内容は常におふざけです。
警視庁公安とか SAT とか 日本の大型ドラマにありがちなパッケージを使っていますが、本気で捉えてはいけません。
刑事ドラマの皮を被っていますが、犯人は超能力者だからトリックもクソもありません。
主人公側の当麻紗綾も不思議な能力を秘めており、謎の核心に迫る時は書道のひらめきで解決させちゃいます。
本気でミステリーが好きな人は怒るかもしれませんね。
刑事ドラマならなんとなく見てみようかという人が「こんなのもありかな」と思ってくれたら幸いですね。

コメディパートとシリアスパートのメリハリがよく、シリアスな場面から一気にコメディに振り切れる 場面では役者の演技力を確認できると思います。
特に竜雷太の変幻自在な演技力には見とれるしかありません。
個性派俳優も数多く利用されており、挑戦的な演技を体当たりで見せてくれます。
ドラマのトリックで数々の役者が知名度を上げて大物俳優になったのと同じように、このドラマ SPEC でも才能を 花開かせた役者がいるのは言うまでもありません。

堤作品のお約束通り、随所に小ネタが埋め込んであるので油断も隙もありません。
ただし地口(恐れ入谷の鬼子母神・あたり前田のクラッカーのような口上)がおっさんのダジャレくさくて耐えられない人にはしんどいと思います。
昭和に流行った一発ギャグ屋たちが懐かしい芸を披露してくれますが、その時代を生きていない人にはシュールなだけかもしれません。

ドラマ版の1話を見れば好きか嫌いかはわかると思います。
3話目まで見れば確実に分かります。
駄目だと思ったら即切りしても問題ないので、わかりやすいのは良いですね。

SPEC 天。

シリーズの順番を間違えて意味不明な展開で置いてけぼりにされました。
ファティマ第三の予言の長文がいきなり出てきて一筋縄ではいかないと肝に銘じることも。
心の中では森山周一郎が読み上げていましたが、なぜ観客に自分の目で読み上げさせようとしたのか意図を掴みかねて戸惑ってしまいました。

随所に埋め込まれた小ネタ の切れ味は相変わらずです。
能力バトルも 迫力ある展開でした。
フラフープを持ったループさせるおじさんはいい仕事してましたね。
トゲトゲ攻撃が途中からタコの足になったのが今でも納得いきませんけど。
神木隆之介が本気のコントをやっていたのは超クール。

私の一押しは当麻が作っていた1/1餃子プラモデルの場面ですね。
餃子の餡までリアルに再現しているのですが、焼き餃子の中に餡が入っていても中までは見えないし。
このリアリティは誰得?
でも茹で餃子は中が透けて見えるんですね。
こんなものを作るほうも頭がおかしいが、製品化する方がもっとおかしい(褒め言葉)。
しかも大人買いして箱を積み上げてるの。

ところがどっこい、事実は小説より奇なり。
検索したら、まさに1/1餃子プラモデルが販売されてるの。
Amazon で。
私にとってはこれだけでお釣りがくる映画でした。


ストーリーはスペックのインフレに苦慮している模様。
ドラマ版の時点で洒落にならない能力が登場しているからには、それを抑え込める能力者を出さなければ面白くないですから。
SPEC 翔では当麻が SPEC を発動して能力バトルの最高峰を見ることができました。
にもかかわらず、物語の展開上、人間がスペックホルダーを倒さなければならないというのはあまりにも無理ゲーだと思います。
当麻は我々に見せてくれた究極の能力を見せてくれません。
絶対に使わないと心に決めて封じ込めた能力を使って解決したのでは物語が破綻してしまいます。
瀬文は知恵を使った解決法を求めず、気合と筋肉だけで進もうとするので展開のしようがない。
どうしてもスペックホルダー側が手加減しなければ勝負にならない。
ちょっとこのギャップを埋めきれなかったですね。

劇場版ということもあってか人間ドラマに比重が置かれています。
超能力者が実在したら、市井の人がどう対応するか。
超能力者は自分の特殊能力をどのように受け入れるか。
それぞれの立場から葛藤を描いています。
そういうのを期待していない人は消化不良かもしれないですね。
個性派俳優を使ってずっと馬鹿なことをやっていて欲しいと願う人にはだるいかもしれません。
まあでも物語を締めくくるには避けて通れない話ですし、素人の創作じゃあるまいし、山なし落ちなし意味なしで終わらせるわけにもいきません。
当麻がどのように自分の能力と折り合いをつけるのか、そのきっかけは何かをちゃんと描けているので、そこは良かったと思います。


起承転結で言うなら、これまでインフレしてきたことを転じてデフレさせたという意味では天[転]という呼び方は相応だと思います。

スペック結も劇場版のようなので、感想は眺めの会でかけると思います。
期待しています。