ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

被災の苦しみ、わかりたくない

3月11日、昨日は施設が提供する昼食に非常食の乾パン、夕食に非常食のおかゆが出ました。

ライフラインに障害が出たわけでもなく、工事の予定もなかったので、 何らかの意図があって提供したのだと思われます。
何の説明もなかったことから、出されたものは黙って食えというメッセージだと解釈。
こちらで事情を想像すると、やはり3月11日なので、震災の記憶を風化させてはならないというメッセージ意外になさそうです。
非常食の定期交換と訓練の意味もあるのでしょう。
ローリングストックとかいうやつですね。
神妙に感じ入りながら、昼食では非常食のビスコをおやつのようにパリポリと頂いたまでは良かったのですが………。
問題は夕食のお粥です。

これはひどい……… 最近の非常食はクオリティが上がったと聞いているので油断していましたが、 丼の蓋を開けた瞬間から自分の周囲の時空が乱れたとしか思えない 離脱感が襲ってきました。

真剣に作ってこれなのか、致命的に作り方を間違えてこうなってしまったのか。

間違いだよな?失敗しちゃったのでごめんねテヘペロアナウンスがあるんだよね?と訂正を期待していたのに、日常と変わりない食事の時間が始まってしまいました。

ダメダメ絶対ダメ。
何が駄目って、これからは非常食のたびにこれが出るって事でしょ!?
台風で停電したり水が止まったら即座にこれが出てくるの?
電気設備の点検まで含めたら一年に何回も出されるって事ですよ?
これは耐えられそうにない。
頑張って3口ほど食べてみましたが、それ以上食べる気にもなれずにギブアップしました。

幸いにも主食が非常食に変わっただけでおかずはレギュラーメニューだったので、おかずだけ食べてフィニッシュです。
今回は計画的非常食だったから良かったものの、ガチで被災していたら本気でやばかった。

万一の時はこれを食べる、実際にはこれで生活している人もいるのですが、それが分かっていても嫌なものは嫌。
災害に関わらず、嚥下機能に障害が出た人はこれを食べるしかないんだぞ、と知識の上ではわかっているつもりでも、 前に出されてみれば嫌なものは嫌です。
嚥下障害は無関係ではない病気だから、覚悟はしなければならない。
障害者施設なんだから、気にも留めていないだけで隣にも前の席にもそれを食べている人はいる。
のですが、毎食これを食べるくらいなら潔く旅立ちたいものだなあ、その苦しみは共有したくない、などと贅沢な気持ちで一杯になってしまいました。

さて、問題のそのおかゆ
何がダメかと申しますと、単純に形状が苦手なのです。
そもそも私はドロドロに煮崩れたものが本当にダメ。
普段でも煮崩れかかった里芋の煮物には手を出しません。
なんなら筑前煮のような煮物の汁部分もダメ。
食事介助の人がご丁寧に残さずすくいとってしまった時も汁が口に入らないように具だけを食べる。
汁を飲み干すなんてとんでもない。
実は白いご飯に汁が乗るだけでも嫌。
やめろー、俺の白いご飯の上におかずを着地させるのはやめろ~~~。
というくらいなので、個人的ななんちゃらフォビアでまずいまずいと言ってるだけなので、私の話は半分くらいに割り引いてくださいね。
実際には塩とだしが入っていない、とろみのついた薄茶色の何かという程度です。
乾パンが苦手な人にとっては、こちらの方が抵抗なく食べられるかもしれません。



さて、さんざんブーたれてガスが抜けたところで建設的モードに切り替えます。


まずは彼を知り己を知れば百戦危うからず、ということで提供されたおかゆの情報を集めます。
検索ワードを「非常食 おかゆ」くらいで調べれすぐに分かります。
ズバリ、この商品ですね。
形状・色合いともにかなり近く、商品名と献立の説明が一致しているので、高い確率でこれでしょう。
メーカーの皆さん、名指しでネガティブな情報を垂れ流してごめんね。


www.niigata-matsuya.co.jp


これの野菜ときのこの和風味のやつですね。

常温で7年保存可能でお湯または水を注ぐだけで完成する、まさに非常食です。
アレルゲン28品目不使用など、原材料にも配慮して、 乳幼児から高齢者まで対応、飲み込みの悪い人にも安心して提供できます。
記載は見つかりませんでしたが、おそらく塩分制限がある人にも対応していることでしょう。
まさにバリアフリーな非常食です。

いざという時、健康上の理由により食べられないとなれば、非常食として機能しません。
報道には上がらなくても、これまでの被災地で体が弱いことで食べられない事例がたくさんあるのでしょう。
やっと届いた希望の光の支援物資が嚥下機能の問題で食べられなかったらがっかり程度ではすみませんからね。
専門家であれば、家族であれば、この人にはこれはダメと判断がつきますけど、考えなくても素人でも失敗しなくて済むだけでも優れものというわけです。
万人に対して安全安心であるという縛りの中でベストを尽くした結果であると。



だがしかし、私はそんなに物分かりが良くありません。
機能面で優れていると分かったとしても不味いものはまずいんじゃ。
(やめて、メーカーの方に石を投げたり訴えたりしないで。)


商品名が分かったことなので、今度は商品名を検索ワードにして評判をサーチします。
検索結果は芳しくありませんが、丁寧なレビューが一つ見つかります。


shinsai-taisaku.info


なるほど、メーカーの強みである離乳食を発展させた商品なのか。
美味しさの面ではそれほど問題にされていませんので、やはり私のメンタルが貧弱すぎるのでしょうかね。
私が騒ぐほどイケてないものではないのかもしれません。
ただし、味の薄さは指摘されてますね。
調理時間わずか1分ということで、提供される頃にはすっかり冷たくなっていましたが、暖かければ………醤油を足せば………もう少し行けたのかもしれませんね。


もっといろんな人の感想が聞きたいなー。
もうちょっと探してみたら、子供も含めたレポートもありました。

ameblo.jp


こちらでも評判はそれほど悪くはなさそう。
お湯を入れる前はフレーク状ということで、私にとってはこちらの方が抵抗感が食べられたかもしれませんね。
本来なら好みの硬さに加減できるはずなのに、調理済みを提供されて逃げ場がなかったのが一つの問題ですね。
ふりかけで味を足しながら食感をつけ加えれば印象は変わったかもしれません。
と言うか、どうせローリングストックなら余暇時間のイベントで防災食体験をやってみて、事前に訓練しておけばショックもなかっただろうに、説明すらしてくれないなんてひどいなあ。

もうちょっと巻き込んで当事者意識を持たせなきゃ。

試食だよ !
試食 !

巻き込んで

試………食………………!?


余暇………時間で………試………食………?



今大変なものが開いてしまいました。
私の記憶の蓋が。

そういえば何ヶ月か前に非常食を体験する余暇活動が告知されてたぞ?
そいつをガン無視して スルーしながら、勝手に怒っているのが………私………?

丁寧に説明しながら体験するチャンスがあったのに踏みにじったのは私。

やばい。
気づいてよかった。
こんなんで事務所に食ってかかっていたら大恥かくところだった。

最後にとんでもないものが開いてしまったなー。
被災してあれを食わされる苦しみはわかりたくないものの、今回の理不尽を受け入れるしかないなあ。
非常時のために醤油とふりかけを備蓄するなど、 自衛を考えますわ。