ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

たとえ生まれ変わってもこれだけはごめんだ!?

生まれ変わったら何になりたい?

輪廻転生を信じる信じないに関わらず生まれ変わってやり直すならどんな生き方をしたいかという話題はよくありますね。
男か女か、同じ相手と結婚したいか、そして人間よりも幸せそうに生きていそうな動物になりたいか、話題は尽きませんよね。
それとは逆になりたくない人生については意外と語られないものです。
そこで質問。
この動物にだけは生まれ変わりたくないって生き物あります?

これだけはごめんだ。

私が考える最も最悪な生き物。
それは鶏です。
特にレグホーンと呼ばれる採卵鶏はとっても過酷です。

1/2でゲームオーバー。

まず第一弾のハードルは男の子か女の子かの選別です。
卵を産ませるための家畜なので、生まないものに価値はありません。
つまり卵を産まない男の子は育てても意味がないのです。

www.hopeforanimals.org

1/2で生まれた瞬間に廃棄処分 となります。
辛すぎる……。
鶏肉にすればよいではないかと思いますが、卵を産む能力に特化した品種改良がなされているので、肉付きが悪い&肉の質がよろしくないのです。
餌を食べさせて育ててもブロイラーに負けて売れないんだから育てる意味がないという判断だからですね。

ダンボールやバケツなどに上からどんどん押し込まれて、最終的にはひよこ色の塊にされてしまうのです。
その肥料または動物の餌として処分されます。
肥料といえば聞こえはいいですが、病気とか臭いが出ないように処理されて埋められるだけじゃないですか。

saruwakakun.com

とってもかわいそう。

助ける方法はないの?

昔はこういうひよこが縁日の屋台で販売されていました。
売れる数は少ないですが、それで助かるひよこはいたのです。
しかし100%オスですから成長すると毎朝高らかにコケコッコーするようになります。
たちどころに近所から苦情が来るということが周知されてしまい、全く売れなくなってしまいました。
そこでスプレーでピンク色に染めてカラーひよことして販売しました。
ところが、これが動物虐待だと非難されて屋台で引き取り手を待つ可能性もゼロになりました。
たとえピンクに染められても買い手が見つかれば処分されずに済んだのに。
皮肉なものですね。

ja.wikipedia.org

助かった女の子は。

搾取の日々。

無事生き延びたメスは半年ほどで卵を産み始めます。
ケージの中に押し込められて来る日も来る日も卵を産み続けます。
平均算出数は1年間です280個程度のようです。
毎日産むと言っても過言ではありません。
もし鶏舎に一羽でもインフルが発生したら連帯責任で全員殺処分です。

鶏だってアンチエイジング

1年ほど卵を産んだら再び生命の危機が訪れます。
卵の質が落ちてきて数も減ってくるからです。
鶏としてはまだまだ若く元気なのですが、産卵した卵の販売価格よりも投入する餌の費用の方が高くなるので採算に合わないのです。
つまり飼育し続けるほど赤字がかさむので、お役御免となるのです。
経営方針によっては、ここで処分です。
しかし助かる方法が一つあります。
アンチエイジングです。
ただし決して生易しいものではありません。
鶏は2週間程断食させると生命の危機を感じて再び活力を取り戻します。
手っ取り早く言えばショック療法です。
飢餓状態で栄養を守るために羽毛がすべて抜け落ちるほどです。
これを強制換羽と呼んでいます。
強制換羽については次のページが詳しいです。

www.hopeforanimals.org

絶食2週間となれば餓死寸前です。
実際衰弱して餓死するニワトリもいます。
この難関をくぐり抜ければしばらくの間は生きながらえることができます。

ボロボロになるまで働いた後は。

ショック療法を乗り越えて生き延びることができました。
しかし、それもいつまでも続きません。
1年も経たないうちに再び産卵能力が落ちてきて今度こそ力を取り戻すことができなくなってしまいます。
そうなるとやはり廃棄処分です。
採卵鶏はもともと肉付きが悪く肉の質も高くなく、おまけに年を取って肉が固くなってしまっているため販売価値はほとんどありません。
年を取ると言っても老鳥になったわけではなく成鶏です。
人間なら脂が乗っていよいよこれからという年齢です。
ところが現代の消費者はブロイラーの柔らかさにすっかり慣れてしまって、少しでも硬いとまずいと感じてしまうのです。
zookan.lin.gr.jp

外国産のブロイラーが格安で輸入されてくると、味と価格の両面で負けてしまうので利用価値はほとんどないのです。
昔は鶏を大切に飼っていたので、鶏肉になるのは歳をとった鶏だけでした。
それらは決して柔らかいものではなかったので、お年寄り達は懐かしい鶏の味に感じるそうです。
時代が変わるとごちそうの種類も変わってしまうのです。

他の用途はないの?

人間にとって美味しくないならペットフードにできないものだろうか?と誰もが思いますが、鶏の骨はささくれると内臓を傷つけるので食べさせてはいけないのですよね。
そのため機械で解体することは難しく、手作業で解体する。
となると人件費がかさんでしまうので再利用は比較的難しいのです。

まとめ。

今日もおいしく鶏肉をいただきました。
卵も食べます。
私にはきっと鶏ガラが使われていることでしょう。
罪の意識はありますが、食べないわけにはいかないのでありがたくいただくことにしています。
日本人は「いただきます」とさえ言えば命を奪う罪は許されると気軽に考えますが、その「いただきます」の裏側には「いただかれなかった命」も間違いなくあるのです。
少々救いなのは最近では穀物価格は高騰しています。
それに従い鶏肉の価格も上がっています。
消費者にとって歓迎できるものではありませんが、そのおかげで食べ物としての再利用が見直されています。
結局殺してしまうわけですが、人間が背負った業を意識しながら。「いただきます」できないと気持ちが落ち着きませんね。

www.morieisuke.com