ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

眺めの会・3月下旬『ソウルキッチン』

困った時はグルメが一番 海外料理映画に挑戦。

眺めの会は今回も一週間遅れで開催です。
相変わらず心が疲れているので刺激的な作品は遠慮したい。
こんな時は美味しそうな料理とゆったりした時間を過ごせばいい感じで まとまることは分かっています。

気がつけば前々回は『かもめ食堂』でコーヒーを、前回は『日々是好日』でお茶をいただく映画でした。
どちらの作品も邦画ですね。
そこで今回は海外の料理映画からピックアップすることに。

そこで Google 先生に料理映画のまとめサイトを教えていただいたのですが、 欧米の作品には料理が主役の物は少ない。
パティシエがデザートを作りながら恋をする話とか、三ツ星レストランとか、 おしゃれ成分が強すぎるの。
もっと食欲を満たす飲食店の話が見たいんだよ。
油だよ油!

いっそのこと『とんかつ DJ アゲ太郎』でとんかつ成分でも補充しようかとクリックしかけましたが、やはり3回連続で国内作品というのもいかがなものか。
最後に引っかかったのが『ソウル・キッチン
ソウルと言っても韓国映画ではなく魂の方のソウル。
ドイツのハンブルクが舞台になっているそうですよ。
どんな作品か知らんけどキッチンと言うからには食事が出てくるんでしょう。

予備知識ゼロで向かいます。

今回の試聴プラットフォーム Amazon プライムビデオ。
プライム会員は会員特典で無料で視聴できます。
字幕版をチョイス。
喫煙・飲酒・性描写を含みます。

ソウルキッチン。

2009年に公開されたドイツのコメディ映画。
監督脚本はファティ・アキン
主な出演者はアダム・ポウスドウコス、モーリッツ・ブライブトロイビロル・ユーネル
上映時間は99分で言語はドイツ語・ギリシャ語。
年齢レーティングは PG 13+。

あらすじ。

ジノスは飲食店「ソウルキッチン」の経営者。
忙しく働いているが自転車操業で経営に追われている。
税務署からの督促、保健所からの指導など次々と経営危機が訪れる。
恋人のナディーンとはすれ違い、彼女は遠い中国に転勤となってしまう。
窃盗で服役中の兄が仮釈放されてきて書類以上働いているように偽装してくれと頼んできた。
しかも働きもせずにぶらぶらと自由に遊んでいる。
起死回生のつもりで凄腕料理人を雇ったが、プライドが高くて扱いにくい。
客と喧嘩して常連達を失ってしまう。
踏んだり蹴ったりだったがふとしたきっかけで店の経営が一気に好転する。

見終わった感想 ネタバレを含む。

結局アゲ太郎じゃねえか。

冒頭から BGM が良くて『いい曲を使ってくるな』と思っていたら、料理映画ではなく音楽映画でした。

経営危機のレストランに流しのシェフがやってきてトラブルを起こすところまでは王道パターン。
「お前らは料理の味をわかっていない。油で揚げただけの冷凍食品を食べたかったらスーパーで買って 食ってろ」
「じゃあ帰るわ。おれたちゃあの味が好きなんだよ」
なんてお粗末なやり取りで常連たちが一掃。

テンプレ通りならこの先の展開は創意工夫で集客するはずなんだけど、これは日本映画じゃないんだな。
ひたむきな努力と誠実さが報われると思ったら大間違い。
もっとシンプルに、イージーにいこうぜ。

金のないバンドの連中に店のスペースをリハーサル場所として貸してやったのが浮上のきっかけ。
彼らのファンたちが料理を注文し始め、 店の雰囲気が一気に変わりました。
地元の人たちの憩いの場だった店が輩達が乱痴気騒ぎする治安悪そうな店に。
これでいいのだ?!

そこにだらしない小悪党の兄が絡んできて クラブから強奪してきた DJ 機材を使って 踊れる店にシフトチェンジ。
盗品だってわかっているのに結局返さずに使うのかと目が丸くなった。
ガラの悪い客に見えるけどうわべだけ。実はセレブでお忍びで来ているので味にはうるさいとかいう設定を想像もしましたが特に描写もなくやっぱりただの 酔っ払いでした。
こいつらの目当ては絶対に酒と薬とセックスで料理じゃない。
明け方にはフロアでパコってるじゃないか。
これがクラブカルチャーだと言われても私は苦手だな。
私は料理を通じて心が救われる話を期待していたのだ。
タイトルの『キッチン』がもはや虚しい。
『これじゃない 』と気づいたものの、欧州の映画を見るのも貴重な機会なので 最後まで見ることにする。

音楽はイケている ただし………。

登場する音楽はご機嫌。
誰もが知る名曲だろうか?
それとも知る人ぞ知る隠れた名曲だろうか?
曲名を知りたくなったので調べたらサウンドトラックの CD が発売されているようだ。
Amazon では輸入盤を見つけることができる。
これを見れば楽曲は分かるはずだ。

Soul Kitchen

Soul Kitchen

Amazon

まあ無理して CD を買わなくてもサブスクがあるから聞きやすい環境だと思う。

エンディングで紹介されるのは利用されたトラックのジャケットなのか?
すごくデザインは良いです。
そして気の利いたアニメーションをする。
これはアーティストのファンなら大喜びかもしれない。
残念ながら私にはその価値はわからない。
私は冷凍食品のようにわかりやすくてお手軽な音楽が好きなんだ(笑)。

演出は控えめ。

ストーリーは比較的単調。
特に伏線がなく因果応報もなく脈絡ないまま進んで行く。
浮上のきっかけをもたらしたバンドメンバーがそこにいたのは偶然だし、 興奮したファンたちが夢中で食事を注文するのも偶然の要素が強い。
兄貴がクラブで DJ の機材と出会うのも唐突だった。
ストーリーを理屈で理解する人にとっては理不尽かもしれない。
もちろん山あり谷ありでドタバタしながら進んでいくのだけど、笑いどころ泣き所のシグナルがうすい。
日本の作品はボケ役とツッコミ役に分かれて状況を無理なく説明してくれるからわかりやすいですね。
特にアニメではギャグパートがデフォルメキャラになったり大げさなリアクションをするなど演出を過剰に噛ませてサービス精神たっぷりですからね。
私の映画鑑賞態度も冷凍ピザの味も慣れ親しんだ客のように リテラシー低いのかもね。


うまくいきそうになると大失敗する流れが非常にこち亀両さん的。
身を滅ぼし方がリアル寄りだったから笑うよりかわいそうになってしまった。
あんな兄貴嫌すぎる。
ヘルニアで走れなくて逮捕される場面が本当に草www。

エピローグで各登場人物たちのその後の身の振り方が 出てたけど余計だった気がする。
ホール担当のお姉ちゃんの色っぽさが素敵だね。
やはり最大の山場は常連客が本当に一人もいなくなるところだった。