ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

Dr.Stone 良い子は真似してください !?ちょっと危険な科学アニメ

たまには新しい目の地上波アニメをフォローしておこうかと

周囲の人にプライムで無料で見れるよさげなアニメは何かないかと尋ねてみました。
そこで私が好きそうなタイトルとして挙がったのが。

Dr. stone。
稲垣理一郎Boichi による作品。

プライム会員は会員特典で無料で見られます。
コードギアスを勧められたけど無料ではなかった。

石器時代から科学文明をもう一度蘇らせる話。
確かに興味をそそられますが、ずいぶん前からなろう小説で繰り返されていたテーマです。
原作を知らない私は、てっきりライトノベル原作の人気小説がアニメ化されたのだろうと早とちりしたのですが、 週刊少年ジャンプに連載している漫画だと知ってびっくり。
今時のキッズはこんなジャンルの話を好んで見るの?
すました感じのガリ勉男が主人公だとは思いませんでしたよ。
てっきり熱血系の大樹が主人公だと思ってました。
勉強できる人が主人公に据えられるなんて時代は変わったなあ。
競争の厳しい少年ジャンプで学習系の作品画人気を博しているとは胸が熱いです。
アニメ化されるまで自分のアンテナに引っかかってこなかったことが恥ずかしい。
新しい作品を発掘すると言いながら連載開始が 2017年と若干の古さを感じるけど、アニメで追いかけるというのはそういうことだからしゃーない。
アニメは現在シーズン2まで製作されていてシーズン1が24話。
シーズン2が11話。

途中でギブアップしかねないボリュームです。
ギブアップ前提で8話くらいまで付き合ってみようと手を出すことにしました。

あらすじ。

謎の光の攻撃を受けて人類が 石化して絶滅。
そして数千年の時が流れ。
人類が生み出した文明で作った物が完全に失われた。
しかしギャグレベルに天才的な頭脳を持つ千空が石化を破って復活。
千空は試行錯誤を重ねて奇跡の水・硝酸から石化を解除する復活の水を作ることに成功。
親友の肉体派の男大樹と、 大樹が思いを寄せるゆずりはも復活させる。
千空の科学知識と大樹の体力、二人が力を合わせて様々なものを作り出して生き延びる。
ライオンから逃げるために復活させた司は人類最強でライオンをもやすやすと倒すほどの強さで心強い仲間となった。
しかし、彼は科学文明が引き起こす 大人たちの醜い争いを毛嫌いして いることが明らかになる。
科学の力で人類全員を蘇らせると決意する千空と文明に頼らず自然に生きる世界を作りたい司は利害が対立してしまう。

抜群に面白い。

多分教えてくれた人より真剣に見てたと思います。
一度見始めたら テンポが良くて話がどんどん進みます。
打ち切り前で巻が入ったんじゃないかと疑いたくなるほどのスピード感。
原始社会では到底作れそうにないものを毎週ガンガン創り出していきます。
千空が蘇らせるのは「良い子は真似しないでね」と注意書きが入るような不道徳な文明がギッシリ詰まっています。
ワインの醸造とか火薬の生成なんて絶対子供がやりたがる奴。
マッドサイエンティストのようにふざけているようにも見えますが、副産物で人類の製造に欠かせない役に立つものもちゃんと作ります。
この「遊んでいるように見えて人の役に立っている」ところがとっても気持ちいい。
化学薬品を保存するために試作したガラスの板から生まれたのがメガネのレンズ。
それが近視に悩んでいる人を救うエピソードなどとっても感動的。
一つ一つの小さな技術の応用で様々な道具が作られるのですね。
現代人の我々にとってはゴミでしかない浜辺の貝殻から石鹸ができたり、建物を作るためのモルタルが生まれたり、化学の知識があれば自然界の何気ない物を資源にできるというところも驚きです。
こんな作品が子供の頃になぜなかったのか。
抗生物質とか通信機を作るためのロードマップを眺めているだけでワクワクします。
きっとトイレの壁に貼っている人もたくさんいるでしょう。

科学と学びが徹底的にポジティブに描かれている。

科学は魔法ではなく理屈さえあっていれば誰にも同じように効果をあらわすことができる。
伝説の英雄だけが出せる技とかよくありがちな神秘的な何かに選ばれた特殊能力を持つ主人公でなくてもできるのです。
原始的な暮らしを営んでいたクロムも知識さえ継承すれば再現できる。
バトルモノみたいな身体能力もいらない。
科学の真髄とは再現性ではないでしょうか。
だからこそ純粋に勉強するだけ。
バトル系では修行を乗り越えることで壁を越えて行きますが、この作品では地道なトライアンドエラー
何度も失敗しながら問題点を見つけて対策を練る。
僕もあなたも好奇心さえあれば千空になれるのです。
千空は実験を始める時めちゃくちゃ楽しそうだし、クロムは新しいことを学ぶとき超ワクワクしている。
じいさんのカセキは 年老いてもものづくりの楽しさを忘れていない。
こんなに学問とものづくりに 真摯なエンタメ作品がこれまでにあったでしょうか。
科学に対する情熱と、文明の素晴らしさを 徹底的に肯定するところが実に素晴らしい。
この辺の台詞回しがすごく上手で毎週毎週が熱く感動して頑張ろうって気持ちにさせてくれます。
科学の可能性を追求する科学王国の国民たちの叫びを是非とも聞いてほしい。

科学とか科学者って得てして悪く描かれがち。
大体最後は倫理が暴走して自滅するパターンが多すぎ。
よく描かれるとしても、 科学の力といいながら実質魔法のように何でも出現させられるパターンが多すぎ。
さすがに戦車を作るのはやりすぎだと思いますけどね。

新しい技術には問題点がありますが、それを克服して人類は何度も絶滅の危機をしのいで発展してきたはずです。
サルファ剤がどれだけの命を救ったか。
一歩先への研究を怖がってやめなかったことで人類が発展したことは歴史が証明しています。
文明を否定する司帝国にもとんでもない才能を持った人物がいますが、体操選手の身体能力ひとつをとってみても文明社会があったからこそ習得できた技術ではありませんか。

科学サイドではない方向からも見ている 一応。

物語が単調にならないためにも、主人公と対立する軸が必要です。
その中心が科学文明を否定する司帝国ですが、それ以外にも 原始的な生活をしている村の人々や 科学に頼らず人の気持ちを操作するメンタリストなども登場します。
科学は信じない人でも呪いとか天罰は効くんだ。
科学の力押し一本ではないところが良いスパイスとなっています。
司帝国の行動はちょっと支離滅裂で残念ではありますが、まあギリギリを保ちながらスリリングな形で結ばれたと思います。
でも石化の光とか秒数を数えて復活とか色々無茶をやっているので純粋に科学の再現性をチェックしている人にとってはしらけポイントが蓄積されるかもしれません。

シーズン3の制作も決定。

これからシーズン3に入ります。
どうやら船に乗って大海原に進出するようです。
綿花や天然ゴムなど、おそらく3000年後の日本の自然界には存在しないであろう便利な素材が残ってます。
地下資源では石油。
採掘できるのか知らんけど 何らかの手段を見つけてくれるのではないかとワクワクしています。
先ほど仕入れた情報によりますと、原作ではロケットで月に行こうとしているらしいです。
連載が始まった時から千空は月に行くことを目標にしてましたもんね。
現時点ではコミック21巻まで出ています。

絵柄はアニメよりも少しだけ大人っぽいですね。
難しいところが流されて行かないので ちゃんと消化したい人は原作の方が良いかもです。