今日もステイホームで映画を見るよ 柳生一族の陰謀
最近の作品だけでなく、旧作もちゃんとリスペクトしないとね。
特に昔の邦画には学ぶところが多いと思うんです、ただの先入観ですけど。
まだ時代劇を見ていなかったので、今回は柳生一族の陰謀に挑戦です。
時代劇評論家の春日太一さんが熱く推薦していたので。
確かにキャストをちらりと眺めただけでも、すごいメンツです。
お互いの良さを食いあってしまうんじゃないかと心配になるくらい豪華です。
もちろん Amazon プライムビデオでの視聴となります。
1978年に日本で公開された時代劇映画で、 上映時間は2時間9分です。
監督は深作欣二。
主演は萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹 他。
この映画の他にも、同じタイトルでテレビドラマが関西テレビ放送によって製作・放送されています。
放送期間は1978年10月から6月まで、全39話54の構成です。
それ以降でもドラマや演劇などでリメイクされており、息の長い人気作品のようです。
あらすじ?
徳川2代将軍秀忠が急死した。
跡取りを指名していなかったため、長男の秀忠と次男の忠長の間に派閥争いが発生。
天下分けての亀裂が走る。
見終わった感想。
日本の剣劇だって本気出せば荒々しい迫力のある映像が作れるじゃないですか。
中世ヨーロッパ風のファンタジーに頼らなくてもやっていけますよ。
ちゃんとお金をかければ。
特に感じたのは、馬の乗りこなし方が違うなあということ。
川岸を駆け抜けるシーンはスピード感があって迫力を感じました。
別木庄左衛門という侍は騎上でアクションをするんですよ。
珍しくもないわ、とも思いますが、馬の背中で飛んだり跳ねたり、興ざめするような大立ち回りをしないことがかっこいい。
但馬守の時代がかった語り口も令和の時代に見てみると一周回ってかっこいい。
特に家光が腹をくくるために但馬守に問いただした「将軍職とは何だ?」に対する答弁には鬼気迫るものがありました。
青春ドラマの叫び声が悪いとは言いませんが、押し殺すような腹の底から絞り出す喋り方ができる人は、最近あまり見かけなくなったかなあと思います。
その辺の表現技法は失うことなく継承してほしいですね。
さて、物語についての感想です。
我々は歴史の教科書で3代将軍が家光であることはよく知っています。
ですから、この争いの決着がどちらになるか、ハラハラしながら行方を見守る必要はない分、集中して見れるはずです。
しかしながら、不穏。
最初から最後まで、不穏。
比較的早い段階で勧善懲悪物の冒険活劇でないことには気づきますが、 テンプレ化した作品ばかり見ている我々には相当頭が混乱する筋書きになっていると思いました。
「陰謀」というキーワードを見たら悪者が画策していると瞬時に判断するじゃないですか。
つまりタイトルだけ見ると、柳生一族が陰謀を働いているんだから、こいつらが破滅するまでの物語だと勝手に思い込んでしまいますよね。
ところが、その柳生一族は徳川の基礎をつくる家光側についている。
つまり、陰謀を企む連中が勝利する話である。
近年ではなかなか考えられない構成だ。
実は私が知らないだけで、当時の人たちにとって柳生宗矩とその一族の暗躍キャラ設定は常識で、タイトルを見ただけでそれとわかる、説明するまでもないことなのでしょうか?
もしかして私、柳生十兵衛弱者?
徳川吉宗、徳川光圀、宮本武蔵あたりと比べると柳生十兵衛の知名度は凋落と 言ってしまうとファンに怒られるかな。
まあでもタイトルの通り、柳生宗矩の画策は陰謀という言葉がふさわしい暗躍ぶり。
しかも最後は私利私欲まで混ざったクズぶり。
権謀術数なんてかっこいいものでは全くなくて、忠義を貫いて命を落とすことも胸のすくような話じゃないですよ。
特に弱い者にとっては。
この時代に作られたエンタメ作品は戦争の馬鹿馬鹿しさを描くのが流行りだったのかな。
ロボットアニメも特攻で死ぬとか犬死キャラたくさんいましたもんね。
そして徒労感だけが残る結末。
悪いことは全部夢で片付けられればどんなに楽か。
そういえば最初の印象は荒唐無稽だったんだから、2時間の夢だったどうしても何の問題もないですね。
ところでこのドラマで繰り返される「親に逢うては親を殺し、仏に逢うては仏を殺す」
すごいセリフだなと強烈なインパクトを受けたので、 きっとたくさんの人が言及しているだろうと思い、調べて ところ臨済宗の教えの一つだそうです。
仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺せ
禅語「仏を殺すという勢い」: 臨済・黄檗 禅の公式サイト