ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

元祖なろう系 ?! ふしぎな島のフローネ プライムビデオで見れるよ

プライムビデオで世界名作劇場が見られます。
世界名作劇場は古典的な児童文学をアニメ化したシリーズです。
昭和40年代から平成初期まで続いた人気シリーズです。
有名どころでは『アルプスの少女ハイジ』『あらいぐまラスカル』など。

私にとって思い出深いのはタイトルにある通り『ふしぎな島のフローネ』です。
フローネという少女とその家族がオーストラリアに向かう途中で船が遭難して無人島に漂流するストーリー。

主人公が少女ということで女子向きかと思いきや全然男子向け。
ロビンソンクルーソーが下敷きになっていて、 冒険とサバイバル満載の内容となっております。
スリリングな展開と困難を乗り越える発想の連続に夢中。
毎週日曜の夜はテレビの前に釘付けでした。
三つ子の魂百までじゃないけどいまとやること変わんねーな。

プライムビデオで少しずつ見ています。
今14話目くらいかな。
お父さんのエルンストが知恵と勇気に溢れ人格にも優れているという「ぐう聖」で、お父さんを中心に一家が力を合わせて懸命に生き延びます。
難破船の中で安全を確保しながら情報を集める的確な判断能力。
船から逃れて島に渡る決断能力。
そのためにいかだを作る工作能力。
医者なのに造船できて航海術も持っているの? 自然現象と災害対策にも詳しい。
南の島の動植物の知識があって危険生物までカバーしてるの ?


この人 TUEEEEEE!!

これはあれですよ。
ラノベ異世界転生ものにありがちなパターン。
人類の歴史を変えた発明の再現とサバイバル雑学で無双する展開がこよなく愛される小説投稿サイト、いわゆる「なろう系」じゃないですか。
こいつは古くて新しいぜ。
主人公は娘のフローネなんだけど、彼女ときたらやばいほど落ち着きがなくて実質男子なわけですよ。
そこに注目すると、ガワは女子だけど中身はおっさんというフォーマットも近年流行のスタイル にも通じているようで不思議。

ところでこのフローネ、原作はイギリスの小説家ダニエル・フォーの『ロビンソン・クルーソー』ではありません。
ロビンソン・クルーソーの大ヒットを受けてスイスのヨハン・ダビッド・ウィースが執筆した 『スイスのロビンソン』です。
タイトルにロビンソンを加えることではっきりと同じであることを示してますね。
いわゆる二次創作作品。

岩波書店から日本語訳が出ていましたが既に絶版。学研の世界名作シリーズも同様に絶版。

これらの作品が執筆されたのは18世紀。
識字率が向上して小説という娯楽が飛躍的に発展した時代だそうです。
小説という形式が生まれたのもこの時代。
恋愛小説、官能小説、ゴシップ小説などどっちかと言うと下世話なものは人気で、もう一つの柱が「漂流物」 と呼ばれる冒険型の話です。
代表的なのは『ガリバー旅行記
少し時代は下がりますがジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記
日本では江戸時代享保です。
徳川吉宗が将軍の時代ですね。
近松門左衛門とか荻生徂徠とか。
演劇だと赤穂浪士とか。
たくさん作品が生まれたということは歴史に埋没した作品はきっと多数あったことでしょう。
異世界転生俺 TUEEEなろう系小説は何かと侮られ気味ですが語り継がれる作品は必ずあると思います。

ここでトリビア
ロビンソン・クルーソーとなろう系小説に共通する特徴がひとつ。
ウィキペディアによるとタイトルがアホみたいに長い。
タイトルだけ読めばだいたい分かる。
Wikipedia から引用するとこんな感じ。

「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」

長すぎワロタ。

さすがにロビンソンクルーソーの方は日本語訳の書籍が多数存在します。
タイトルは簡潔だけど。
完訳版を選ぶべきか否か。

古典的名作なんだから青空文庫があるか。
旧仮名遣いが大丈夫であれば森鴎外の翻訳がありますね。

[[図書カード:ロビンソン・クルソオ](https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/card53713.html):embed:cite]