ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

たまには映画でも見てみるか マッドマックス怒りのデスロード

嫌なニュースばかりで気が滅入ってしまいますね。
毎日ルーティンを繰り返すことでコンディションをたもつタイプではありますが、こういう時はスカッとするために、いつもはやらない行動で気分転換するのも良いかなと思いました。

普段やらないことで気分が晴れそうなこと。
思い当たったのが映画を見ることでした。
もちろん外出は禁止されているので、ネット視聴です。
ネットで有料コンテンツを見るの、実は初めて。
レンタルショップにすら足を運ばなくて良いのですから、格段に便利になりましたね。


そこで普段なら教養が身につきそうな意識高いタイトルを選ぶところなのですが、今回は気持ちをリセットするのが目的なので、できるだけ頭の悪そうな作品で、 話題性も高かった近年の作品から選ぶことにしました。
選んだのはこれ。



マッドマックス怒りのデスロードです。Yeeeeaaaah !
ただし、私は YouTube ではなく、 Google Play で視聴しましたのでご注意を。
皆さんお好みの環境でご覧下さいね。


マッドマックスシリーズ。
こいつはいいですよ。
水だ ! 火薬だ ! ヒャッハー !!
暴力こそ正義だ !

過去のシリーズを見たことがあれば、無限の荒野をでっかいトレーラーに乗って、走って走って、悪党から逃げ切るストーリーだということは簡単に想像できます。
後はトゲトゲのついた車と超大型車が、吹き出る血液と爆炎を飛び散らせながらカーチェイスするところを眺めるだけです。
結末はいたってシンプル。
もう最高に頭悪いですね。
こんなの面白いに決まってます。
結果としておかわりして2回見ました。
2回目も十分に面白い、と言うかむしろ2回目の方が面白かったですから、安心して繰り返し視聴してください。
時間の都合で3回目には挑戦できませんでしたが、3回目も面白い自信があります。
何年かに一度しか映画を見ない私が思うに、最近の映画は細部の小さなネタにまで仕掛けがしてあって見る度に何らかの発見をできるようになっているのではないでしょうか。

ここからは感想文を含めて私が発見したことをつらつらと書いていこうかなと思います。
まず、作品に登場する車が 暴走族めいていてかっこいい。
角が生えていたり炎を吹き上げていたり。
しかもそのデザインが単なる装飾ではなく、攻撃のための機能を備えているところがすごいです。
こいつらなにやってんの ?
命知らずと言うか、頭おかしいと思っていたら、過剰な火力で制圧するのではなく、人質を安全に奪還する道具だったとは !
しかもその攻撃バリエーションの多いこと !
極端な話、誰一人として同じ武器を持っておらず、それぞれ独自にカスタマイズした必殺技を繰り出してくるんです。
変な車が登場するたびに「あれは何だ」と一気にテンションが上がります。
パワーショベルとか !パワーショベルとか !
火炎放射器のギター男とか、最後まで謎かっこよかったですよね !

こんな恐ろしい銃火器が次々と迫ってくる。
これだけ戦力差があるのに、主人公がことごとく撃退してしまうと、敵が間抜けに見えてしまって、しらけがちになってしまうものなのですが、そこもちゃんと理由がつけられています。
それが「逃走しているのは敵のボスのお気に入りの女たち」である、つまり人質を取られている関係であること。
この「傷つけてはならない人質をのせて逃走するトラックを止める」という縛りのある設定にしたことで、ゲームバランス?が絶妙に整えられているんですね。
資源を盗んだ不埒者を殺せという命令なら雑作もないミッションだったはずです。
相手を傷つけずに生け捕りにしろと言う指示は戦力が10倍あっても難しい。
その発想で賊どもが原始的な槍を武器にしたり、オフロードバイクで砂山を飛び越えるアクションを映画内に組み込んでも 違和感なく楽しめるんですね。



さて、この映画。
スピード感あふれるアクション映画ということで、セリフが少な目、登場人物はあまり語りません。
特に主人公の二人、マックスとフュリオサは背中で語るタイプで、過去に何が起きたかはあまり語られません。
彼女の手首が欠損していることも当たり前のように受け流されています。
だからといって、ストーリーが薄っぺらいなんてことはありません。
むしろ余白があるからこそ、 観客は想像を許されていると言えます。
盗賊どもに誘拐されてから7000日が過ぎたという一言だけだからこそ、その時間の途方もなさ、不屈の意志を垣間見ることができると言えませんか?
そう、この物語の登場人物はみんな確固たる自分の正義を貫く鉄の意志を持っているんです。
それは一見弱そうなイモータン・ジョーの妻たちについても同様です。
彼女らだって、本当の自分の行き方を侵害されるなら死んだ方がマシだという強い意志があるんです。
だからこそ命がけで逃げ出した。
それは結局最後まで変わりませんでした。
唯一、自分が信じる正義が変わったのがウォー・ボーイのニュークス。
彼だけは神とすがるイモータン・ジョーの元から去ることを決意して、 自分の力で自分の正義を発見しましたね。
彼が何度も放った「俺を見ろ」のセリフ・最後は決定的に変わりましたね。
物語を通じて成長したのは彼だけだったのではないでしょうか?
弱くて未熟で決められない彼に共感してしまったのは私だけではないと思います。



ところで、結末はハッピーエンドという形で着地したように思えますが、実際のところ救いがないと思ったのは私だけでしょうか?
悪いのは暴力を背景に人を物扱いする奴らではなく、文明を崩壊させた核戦争ですからね。
ほとんどの人間が 自由を享受できるようになったとしても生きてはいられない。
人口を増やして強い社会を作る仕組みはイモータン・ジョーのやり方の方が上手になりそうな気がしてならないのです。
種の生存と倫理をバランスよく両立させるためにはまだまだ長い道のりになることは間違いないですからね。
7000日どころか7000年かかるかもしれませんね。
いや、我々が暮らす現実のこの社会がイモータン・ジョーの秩序でないとは言い切れないと考えると、7000年でも足りないかもしれません。



これ以上喋るとネタバレ不可避。
映画の話って難しいですね。
それにしてもカロリーの高い映画でした。
400円を出した甲斐がありました。