ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

GW 映画祭り『ベン・ハー』

ゴールデンウイークがやってきました。
昨年、 一昨年とGWは映画を見て過ごしました。
もう定例化しつつあるので GW 映画まつりと名前を付けて恒例行事にしましょうか。
選ぶ基準は「見るべきと言われているのに見てない作品」とします。
眺めの会よりもライトに見て気軽にコメントします。

今回選んだタイトルはチャールトン・ヘストン主演の『ベン・ハー』です。
あちこちで話題になって過去にも何度か眺めの会 の候補として上がっていたけどベタすぎて落選しちゃうんですね。
こんなの大好きに決まってるじゃん。
予備知識は「チャリオットで競争する」程度。
戦車戦といえば『ジョジョの奇妙な冒険・第2部でのワムウ戦』 が印象深い。
っていうか荒木飛呂彦ベン・ハーの影響であの展開になったに違いない。
ああいう戦いが実写で見れると想像しただけでワクワクしますね。

ベン・ハー1880年に出版されたベストセラー小説が原作となっています。
何度か映画化されていますけど最も評判が高い1959年の作品を選びました。
もちろんプライムビデオで視聴可能です。
有料コンテンツとなっておりプライム会員とは課金して視聴します。
吹き替えか字幕かで悩みましたが字幕を選択。
上映時間は3時間42分。
途中の休息時間があるのでそこで区切って二日で見ました。

ここからはネタバレありの感想です。

いや素晴らしかった。
いいもの見せてもらいました。
圧倒的なスケールで古さを全く感じさせませんでした。
噂の戦車戦には息をのみました。
ジュダの数奇な運命がじっくり描かれていたのが良い。
ギリシャ神話の英雄とか、岩明均の『ヒストリエ』の主人公エウメネスのようでした。
奴隷に堕とされて数々の苦難を受けるが復讐を果たすというあるあるな展開。
どんな話でどんな感想だったか ?と問われたら 想定の範囲内のスペクタクルロマン展開で想像通りの気持ちというのが一番伝わりやすいと思います。
これは?と思ったのは奴隷の境遇が結構丁寧に描かれているところ。
竹馬の友にこんな仕打ちはないだろう。
怒りと悲しみの気持ちがいやが応にも高まります。
心優しい人は残酷すぎて見ていられないかも。
船こぎの仕事きついわ。
さぼったら鞭で打たれるし、きっと食事も減らされる。
私なら一日も持たないで諦めて処分されるね。
あれだけ酷使されても自由になれる保証は一切なし。
いったい何のために生きているのだろうか ?
絶望の中で復讐心を維持し続けることの困難さ。
ローマ帝国時代の海戦の様子がド迫力で描かれていて軍艦が好きな人は見ておいても損はないと思う。
船首からの体当たりで林立したオールが全部へし折られるの。
ただこの時は奴隷の船漕ぎに感情移入してるから怖いだけだけど。
船と鎖で繋がれて勝利以外に生きる道がない 呉越同舟とゆうか一蓮托生。
人権ゼロ、ただの動力装置。

もう一つ印象に残ったのは水を飲むところ。
ジュダは人生の節目で水を飲む。
我々にはただの水なんだけど、ここでのジュダにとっては冷たくて甘い神秘的な飲み物だっただろう。
砂漠を歩かされて水をもらえない場面では私までめまいがした。
ここで水をくれたのがキリスト。
キリスト教徒でもないのにキリストの慈悲に感動しちゃって 製作者の信心深さにも胸熱くなりました。
この物語はキリストが生まれた時代。
キリスト生誕の場面から映画は始まる。
それはリアリティを増すための演出かと思いきや、実は屋台骨はキリスト教の話でした。
それもそのはず、原作の副題は『キリスト物語』だったのです。
クライマックスはキリストが磔にされて奇跡を起こすところでした。
娯楽映画としては戦車戦で終わった方が切れ味がいいのだけど、宗教映画だからここからが本番なんだ。
戦車戦の方がオマケだったなんて!

でもまあキリスト教歴史観から見たユダヤの独立心とローマのいけ好かないところはわかった。