ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

専門学校生と戯れる

福祉系専門学校の授業の一環で、学生たちの前で話をしました。
障害者の生の声を聞く機会は限られているので勉強に協力してくれる人を探しているということだったので引き受けました。
どうせやることもないし、断る理由がありません。
まあ私が動くのは口くらいのものですから、それくらい使ってもバチは当たらないでしょう。

と軽い気持ちで引き受けたら、話し相手となる生徒は20人くらいと聞かされました。

それ、ちょっとした講演じゃん。

5人程度と世間話するイメージだったんですけどね。

ちょっとプレッシャーなんですが、引き受けたからには後には引けません。
当日に向けて資料を準備します。
ちゃんと準備しないとパニクって絶対話せない ですからね。


そこで記憶の蓋をこじ開けて自分に起こった出来事を時系列でまとめて行きました。
思い出したくもないような昔の話をほじくり返すのも骨の折れる作業でした。
まめに記録をつけているわけではなく、 毎日が必死でしたから。

ある程度まとまったので読み返してみたが衝撃の内容でした。

「やだ怖い、世の中にはこんな不幸な出来事があるの?」
「こんな境遇、私だったら耐えられない !なんて可哀想な人がいるの!?」
「この可哀想な人は、どこの誰………?」

というところで我に返ってみたら、それは自分のことでした(笑)。

自分の身の上に起きたことって、不幸な部分だけに着目して時系列にすると、めちゃくちゃかわいそうな人ですね。

なるほど、私がちょっと前向きなことを発言しただけで「いいね」してくれるのが謎だったのですが、そりゃあ私もこんな人を見ればいいね! しますですわ。
長年の謎がようやく解けました。
そして障害者が懸命に生きるドキュメンタリーが都合良い筋書きになる理由わかりました。
この骨格さえあれば、後はどんだけでも良かったことを付け足して緩急つけられますわ。

さてここからが問題。
台本ができたものの、全く暗記できそうにありません。
何を話すべきかのチェックポイントすら記憶できません。
もう自分の頭の悪さに笑えてくるくらいです。
でもプリンタもないからレジュメすら印刷できない情けなさ。
人前で喋る人ってすごいですね。

で、私はもう暗記することを諦めました。
いくつかのキーワードだけ覚えておいて、そこだけは時間かかってもいいから落ち着いて思い出して喋ればいいやと腹をくくりました。



そして、学生が集まる日がやってきました。

暗記できない心配など全くの杞憂で、先生がうまく段取りをつけて誘導してくれました。
体験談も事前に準備できていたおかげでパニクることもなく出せたように思います。
ただ、最後の質問コーナーでつかみどころのない話になってしまったのが反省点です。
あれは完全に話が半分で終わってしまった。
夜になって一人でへこみました。

自分ではよくわかりませんが、先生にとっては期待以上のパフォーマンスを出せたようで、来年も是非にと頼まれました。
もちろん頼まれれば引き受けますが、毎回同じ人だと訓練されすぎて生の声にならないのではないかと少々心配です。
まあそれは来年の話なので。

後から聞いた話では、学生たちのレポートも大変出来が良く、先生も感動するくらいだったそうです。
うむむ、学生たちも訓練されすぎているようですね?
ちょっとエピソードをポジティブに寄せすぎたでしょうか。
来年があるならダークな内容に挑戦してみようかしら。
そんなふうに考えたところで、自分の性分では笑える話に落とさないと我慢ならない気がしますね。
先生のリップサービスはともかくとして、学生たちの授業の助けになれたのなら幸いです。
こんな体だと、目に見える形で社会に貢献する機会は滅多にあるものではないですからね。