眺めの会・2月上旬 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
高校卒業までにはまだ時間がある。
年度末が押し迫り「受験」「卒業」の話題が増えてきました。
今年は我が家にも高校3年生の子がいるので受験と卒業のキーワードには敏感です。
うちはもう進路は決まっているし、すっかり卒業気分を満喫しているようなので卒業の話題をチョイス。
前回、前々回とアジアの作品だったので今回は洋画の中から選びました。
選ばれたのは『ブックスマート・卒業前夜のパーティーデビュー』です。
1年前くらいにサブカル女子界隈で評価が高かった作品です。
何度も話題になったことで事前情報は取得済み。
今回はあらすじから。
「Book smart」 とは日本語に訳すなら「ガリ勉」が近いんだそうです。
勉強が得意な人というよりは、勉強のしすぎで常識を身に付ける機会を失った人の方がニュアンスが近い。
今回はそんなブックスマートの仲良し女子2人組が奔走する話です。
通っている学校は F ランというより動物園。
本能剥き出しで酒とセックスとドラッグにうつつを抜かすクラスメイト達。
そんな空気に流されず勉強と生徒会活動に青春を捧げた3年間で得たものは名門大学への切符。
自分達は特別な存在だと思っていたら、遊び呆けていた連中が自分より上の進路を進んでいた !!
あいつらはただ遊んでいたんじゃない ! 勉強しながら遊んでいたんだ !
卒業間際に知らされた驚愕の事実。
いやが応にも浮き上がってくる自分の3年間の空虚な高校生活。
でもまだ卒業してない !
卒業パーティーにはまだ間に合う !
とは言ったものの、クラスメイトの連絡先は知らないし、パーティー会場がどこかも知らない。
今夜中に見つけ出せ、そして合流しろ。
ふたりは失われようとしている青春を取り戻すために奔走するという話です。
視聴プラットフォーム Amazon プライムビデオ。
プライム会員は無料で視聴できます。
今回は字幕版を選択。
飲酒セックスドラッグの描写があるのでお一人でご覧ください。
ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー。
2019年に米国で公開された学園モノの長編映画。
日本では2020年に公開。
監督はオリヴィア・ワイルド。
脚本はエミリー・ハルパーン他。
主な出演者はケイトリン・ディーヴァー、ビーニー・フェルド スタイン。
上映時間は102分で言語は英語。
年齢レーティングは PG12。
見終わった感想。
存分に笑わせていただきました。
パーティー会場が分からず 振り回される二人の珍道中がもう最高。
「ドラクエで隠れ里を探すために洞窟やお化け屋敷を回ってヒントを集めるイベント」 のようでした。
特にお人形の世界にメタバースして全裸になって女体を楽しむところでゲラゲラ笑った。
自分の内側からにじみ出てくる動物的欲望を理性で必死に抑えようとしてるし。
あまりに濃密すぎるので最後までこのペースが続いて会場までたどり着いた頃には朝だったというオチではないかとハラハラしました。
パーティー会場に到着してからも山あり谷ありで 最後にはちゃんと人間的な成長も確認できて爽やかなエンディングを迎えることができました。
人は見かけで判断しちゃいけないし、噂に惑わされてもいけないね。
助け合い励まし合い秘密を共有しては時にディスり合いする二人の関係は尊かった。
少年漫画の腐れ縁コンビみたいなもんだろうか。
女子たちはそういうところに BL 味を感じるけど、私は GL 味感じました。
展開が速くて情報量が多いから見逃した笑いどころもたくさんあったと思うけど、十分すぎるほど笑いました。
高校時代の借りは高校時代にしか返せない。
高校生の時に通過しておくべき体験は高校生の時でなければ取り返せない。
大抵は大人になってから気づくんだ。
みんなが高校生の時に楽しかった体験の話題で盛り上がっている時に披露する話がないことに気づいて。
一矢報いておけば、たとえ苦い経験になったとしても失敗談として笑いになる。
米国と日本、お国柄の違いとか、そもそも私は彼女らと性別が違う点とか、根本的な違いはあるけど共感できるできる。
もちろんすべてが理解できるわけではありません。
彼女らは勉強しか頑張らなかったけど、私は遊びも勉強も頑張らなかったので。
米国人が卒業パーティーにかける情熱は日本人のそれとは比較にならない。
米国の作品だから卒業の季節が違う。
海外では夏に卒業して秋に入力するのがスタンダード。
卒業パーティーといっても季節は夏。
真夏に卒業式と言われてもなぁ。
日本人の感覚だと桜の蕾が膨らむと共に新生活への期待に胸が膨らむ区切りこそが至高。
ではあるのですが、夏休み前の開放感と卒業の達成感を同時に味わえるのは悪くないなと感じました。
梅雨明けと幕開けってよく似てる。
クラスメイトの強烈な個性。
あのクラスはとんでもない個性派揃いですね。
スマホは禁止なのにコンドーム風船が飛び交う学校そのものが個性的。
日本の学園アニメに出てくる私立高校のお嬢様みたいな設定、 アニメなら虚構として楽しめるけど異国の実写で描かれると西海岸のハイスクールはマジでこんなのかと勘違いしそうになった。
でもあの中にも真実はあるよね。
クラスの中で一番目立つためにセルフプロデュースに余念がない。
自分のキャラが立つようにしのぎを削った結果があのスタイルに見えました。
歓心を得るために八方美人になるのはもってのほか。
仲良くない人たちは露骨に牽制してて 日本人の付き合い方とは全く違うところがちょっと怖い。
クラスメイトの全てがライバル。
楽しそうに見えるけど孤独なんだな彼らは。
その中に日本のキョロ充が放り込まれたら普通に死ねる。
逆に彼らは常識から見れば昼休みも机をくっつけて弁当を食べる姿が衝撃だろうね。
強烈な個性の部分はフィクションだから盛すぎでも構わないんだけど、 モリーとエミリーが進路についてもポンコツなのが気になった。
クラスで下の連中に学歴でマウントをとったつもりが自分が一番弱かったと言う急転直下の情報こそが青春を取り戻そうという強い動機になったので 落差が大きいほど面白くて真実味が出るというのもわかる。
でも学校の校風を知らないで入学してくるとか、 卒業生たちの進路から周りのレベルを想像するとか、 一切関心を持たないで3年間過ごすという設定はギリギリではないか。
仮に F ランだったとしたら特殊な才能の持ち主は噂がすぐに伝わってくるでしょ。
学校選びはくれぐれも慎重に。
卒業パーティーはいいけど、集まるメンツを見定めないとドラッグの巻き添えになるのはごめんです。
私アメリカ人にはなれないわ。