ぺんちゃん日記

食と歴史と IT と。 Web の旅人ぺんじろうが好奇心赴くままに彷徨います 。

暇をつぶしながら業界通になれる?! 会社四季報・業界地図

正月に退屈していたら、某企業の社長さんのトーク番組で、愛読書が業界地図だという話が出ました。
いろんな業界の成り立ちと 主要プレーヤー、そして各社の関係性を図解で眺められるので面白いらしいのです。
自分の会社がどの業界のどのポジションにいるのか確認して楽しんでいるのだそうな。

そいつはいいことを聞いたなと、早速 Amazon で試し読みしたらドンピシャにはまりました。
こいつはわかりやすくて面白い。
子供の頃、社会の資料集や図解が好きでした。
中日新聞のサンデー版に掲載されている図解が面白くて真剣に読んだことを思い出します。

最新版は昨年の8月となります。
毎年8月頃に出版されるということで、年が明けた今となってはやや情報が古いけど、読みたいと思った時が読み時だ。

気軽に読めばいいんだよ。

全部で174の業界の様子を四季報記者が独自の視点で解説してくれます。

登場する会社は4080社。
注目の業界をながめて期待の銘柄を発掘するもよし。
学生が進路を決めるための希望業界の研究に使うもよし。
新入社員が社会の仕組みを勉強するのもよし。

ビジネスのことがよくわからなくても大丈夫。
業界地図の読み方から始まって、 基本的なビジネス用語の説明までされています。
例えば、売上高、営業利益、経常利益、純利益の意味など。

業界の調子は天気予報の晴れマークや傘マークで表すなど工夫が沢山。
カラフルにまとめられていて親しみやすい。
分からなくても大丈夫。
雰囲気で眺めればいいよ、全部読まなくていいから。

実際、実用面で見ても東西南北がわかる程度と考えていいですよ。
無知蒙昧の人にとって方向がわかるってだけでもめちゃくちゃ大きいから。

ランキングは明日にでも使える豆知識。

本編以外にも、各種ランキングが面白いです。
それに目を通すだけで翌日からでも豆知識を披露できます。
四十七都道府県のトップ企業を覚えておけば 出身地の話題で盛り上がれること間違いなし。
業界ごとの平均年収なんていう下世話な情報までグラフになっているから自分の業界を確かめて不安になったり安心したり。
2030年の各業界の調子を大胆に予測した業界天気図。

これだけでもわかった気にさせてもらえますね。

本編は注目業界から。

まず本編は成長が見込まれる注目業界から。

と20種類以上続きます。そんなに注目できないよ………。

中央省庁は成長するのかって、まあ予算規模がでかいのでしょうがない。

注目の業界から DX に着目してみた。

DX はデジタルトランスフォーメーションの略ですね。
でも実際どんなものかと問われるとぼんやりとしか答えられません。

業界規模は国内で9.3兆円、世界では144.3兆円。
力を入れて取り組んでいる業界は多岐に渡ります。

  • お金の流れを電子化するフィンテック
  • 人事デジタル化するHRテック。
  • 教育関連の ED テック。

それぞれの分野が色分けされていて代表的なプレイヤーが紹介されています。

業界の平均給与を見てみますと、フィンテックからフリー688万円。
EDテックからチエル 653万円。

隣接業界はオンライン決算 テレワーク IT サービス。
プログラミングしてソフトウェアを開発していれば一括りに IT 系にしてしまいがちですが 、アプローチは違うんですね。
四季報記者のチェックポイントでは業界ごとの DX の進捗状況がグラフ化されており、サービス業飲食宿泊業界では出遅れているとのこと。

世界と戦う自動車業界。

自動車業界はグローバル企業がしのぎを削ります。
業界シェア1位はトヨタ自動車、次いでフォルクスワーゲンルノーと続きます。
トヨタダイハツを完全子会社、マツダ 、スバル、スズキと小規模ながらも資本関係。
フォルクスワーゲンはフォードモーターと一部提携。
ルノーは日産と三菱 とタッグを組む。
この辺はニュースで取り上げられることも多いのでなんとなくわかります。
でも関係性を矢印付きで図解すれば良い分かりやすい。

四季報記者のチェックポイントが面白い。
EV のコストはバッテリーの比重が高く、儲けを出すには安くて性能の良いバッテリーを開発するのが肝だと解説。
EV 業界が注目だからといって全ての企業の業績が上がるわけではないので 銘柄選びはそこがポイントとなるということですね。

四季報記者のチェックポイントは本当にツボ。
放送業界の 収益の柱の不動産だなんて知らなんだわ。
SIer多重請負構造が問題になっていることもきっちり指摘されていたし。

我々の暮らしは様々な業界の働きで成り立っている。

ページをめくってもめくっても次の業態が出てくるので中盤以降はヘトヘトになります。
その業界と業界を横断できるように、各業界には番号が振り当ててあります。
例えば94番の食材業界がつながっているのが 93加工食品、145スーパー、156ファストフード。

143倉庫物流は我々の生活には無くてはならないものだけど裏方すぎて大手企業すら知らない。
こんなに沢山の業界があるのか………。
業界があるからには必要とされているわけで、我々の暮らしは様々な業界の連携で成り立っているのだなと思い知りました。
宗教団体の信者数と 創立年数まで取り扱われているのはさすがに草生えたけどwww。

多角経営の会社は業種をまたいで登場するから追いかけられないぞ?
と心配しましたが、巻末に索引があったので安心しました。

多角経営で思い出したけど、 企業の売上高が紹介されていても多角経営企業は他の業種もごっちゃになっていて予算の規模感がよくわからないのがちょっと残念。
セグメント別にしてほしかったところ。

書籍、電子書籍の他にデジタル版もある。

業界地図には三つのバージョンがあります。

私は Kindle 電子版を選択。
紙の本を取り込んだ状態に近いので電子書籍ならではの便利さはありません。
見開き前提のデザインなので ページの間を往来するのか結構面倒。
文字を好きなだけ拡大できるのはいいけど、 ズームインとアウトを繰り返してスクロールしながら読むのは大変不便。
私にとってはマウスクリックでページがめくれるってだけで十分ですけど。


美味しいところだけざっくり見るなら書籍の方が便利かも。
古本屋で購入すれば安いのではないでしょうか。

どちらも気に入らんと言うなら昨年からデジタル版が始まってます。

gyoukai.toyokeizai.net

月額数百円程度のサブスク制。
デジタル版ならではのデザインでスマホタブレットで 閲覧検索しやすくなっています。
私は書籍を買ってしまったので有料会員にはなりません。
だからどの程度便利なのかはわからない。
書籍版には見られなかったダイアグラムのチャートが用意されているなど、いくつか改善点は見られるのだけど、サンプルを見る限り正直あまり便利そうに見えません。
昨年リリースされたばかりなので発展途上と捉えるべきでしょうか。

3ヶ月以内に解約すれば Kindle 版よりも安く読める計算になるのだけど、それで正しいのでしょうか?
そもそも一年を通してこの本で業界研究する意味はあるのだろうか?
四半期ごとにデータが改訂されるなら投資判断にも使えるかもしれないけど、 年に一度の更新では役に立たないよね。
そこが気になるけどデータの更新間隔がどれくらいか探すことができませんでした。

もっと幅広い見方をしたい。

今回紹介した業界地図は会社四季報の記者が独自に分析したものです。
当然偏りがあったり 注目すべきポイントを外しているかもしれません。
そもそも紙面の情報量に制限がある限り、全容を把握するだけの情報を掲載できません。
もっと違った見方をしたいなら、 日経 BP から日経業界地図が出ています。
完全なライバルですね。


私はこの正月に四季報とセットで購入したので自動的に四季報業界地図選びました。
そんなに激しく業界再編するわけでもなし、隔年で東洋経済と日経を交互に買うのもいいかもね。